石炭運搬船(右)に燃料のLNGを補給した(25日、下関市の下関港新港地区)

下関港(山口県下関市)で25日、船舶に燃料の液化天然ガス(LNG)を補給する「LNGバンカリング」と呼ばれる作業が行われた。同港では初めて。LNGを燃料とする船は排ガス規制の強化などを背景に急速に増えている。国や地元は地理的優位性を生かして同港を燃料補給拠点に育てたい考えだ。

九州地方整備局や下関市が下関港新港地区の現場を報道機関向けに公開した。燃料補給専用船(バンカリング船)の「キーズアザレア」が、石炭運搬船「松陽」に約700トンのLNGを供給した。日本と産炭地のオーストラリアを往復できる量という。松陽は九州電力が発電に使う石炭を運んでいる。

キーズアザレアは九州電力や日本郵船など4社による共同出資会社が運用する。4月、同船を使って船舶にLNG燃料を供給する事業を始めた。これまでに瀬戸内海の4つの港で、鉄鉱石や自動車の運搬船に対し計20回の補給作業を実施した。関門海峡以西では今回が初めてという。普段はLNGを貯蔵する戸畑基地(北九州市)付近で待機している。

LNG燃料船は排ガス規制の強化や脱炭素の潮流を背景に急速に増えている。大陸に近い下関港は海上交通の要衝でもあり、国などは今後体制を整えることで、貨物船やクルーズ船などの燃料補給目的の寄港を取り込めると期待する。

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