宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、次世代小型ロケット「イプシロンS」の2段目エンジンの燃焼試験中に起きた爆発について記者会見を開き、原因調査の進め方を説明した。エンジンを覆う圧力容器内の圧力異常、燃焼ガスの漏れ、容器の破壊の3点に着目する。試験データなどを分析し、爆発に至った要因を絞り込む。
燃焼試験は11月26日、種子島宇宙センター(鹿児島県)で実施された。約2分間燃焼するはずだったが、点火約49秒後に爆発した。23年7月の能代ロケット実験場(秋田県)での試験に続いて、2回目の失敗となった。
原因調査チームが試験データを分析したところ、①エンジン点火後約17秒からエンジンを覆う圧力容器内の燃焼圧力が予測より上がり始め、②約48.9秒後の時点で圧力が下がりだし、③約49.3秒後に圧力容器の破壊につながる「爆発」が起きた――と確認した。
試験時に撮影した画像なども踏まえ、約48.9秒後の時点でエンジン後方から燃焼ガスが漏れ、その後爆発したと判断した。燃焼ガスは推進薬を燃やして出るガスで、本来はエンジンノズルから噴出される。
原因調査チームは3点の発生原因を調べながら爆発した要因を絞り込む。イプシロンSの開発責任者を務める井元隆行プロジェクトマネージャは「前回は爆発と圧力の上昇を強く関連付けていた。今回は関連の有無も含めてゼロから調べていく」と話した。
前回の失敗はエンジン点火装置の一部の溶解が原因と結論づけ、この部品に断熱材を施す対策をしていた。今回は部品の溶解は見られなかった。
イプシロンSは、JAXAとIHIエアロスペースが開発した固体燃料ロケット「イプシロン」の改良機にあたる。2024年度中の初打ち上げが計画されていたが、JAXAは12月に「技術的に不可能」と正式に判断した。
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