無人着陸機「SLIM(スリム)」は1月に月面着陸した=JAXAなど提供

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、日本初の月面着陸を達成した「SLIM(スリム)」プロジェクトを終了したと明らかにした。着陸する際に「逆立ち」した原因は、燃料を着火する際に衝撃が生じエンジンが失われたためだと結論づけた。得られた知見を今後の宇宙探査にいかす。

文部科学省の専門家会議「宇宙開発利用部会」で明らかにした。10月29日に開かれたJAXA理事会で了承され、同日付でプロジェクトを終了したという。

月面着陸の直前、エンジンのシステム異常が起きたと報告した。2つある主エンジンのうち片方で燃料が多くたまり、これに着火したため衝撃が生じた。エンジンが破損し脱落した結果、探査機の推力が大幅に低下した。エンジン自体に問題はなかったという。

スリムは着陸後も、極寒の月の夜を3度乗り越えて運用した。JAXAはプロジェクト終了後も原因調査を続ける。探査機は月の夜は乗り越えられる仕様になっていなかった。月の夜を乗り越えた要因がわかれば、今後の月面探査に役立つ。

スリムは2023年9月に日本の大型ロケット「H2A」で打ち上げられ、24年1月20日に旧ソ連、米国、中国、インドに続く世界5カ国目の月面着陸に成功した。目的地点から100メートル以内に降りる「ピンポイント着陸」を世界で初めて実証した。月面の岩石を観測する科学調査を実施した。その後も地上と通信を続け、8月に運用を終えた。

【関連記事】

  • ・日本の月面開発、逆立ち探査機「SLIM」の功績強みに
  • ・月探査機「SLIM」7月も応答せず JAXA、今後は「議論中」
  • ・月面探査機のピンポイント着陸成功 JAXAが画像公開

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。