環境省と経済産業省は24日、温室効果ガスを2013年度比で35年度に60%減、40年度に73%減とする新たな削減目標をまとめた。引き上げを求める意見があったものの、両省の原案通りとした。今後パブリックコメントにかけ、25年2月までに国連に提出する。

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JERAの姉崎火力発電所=2021年12月、千葉県市原市

 両省は11月に35年度に60%減を軸とする案を出していた。これは、政府が掲げる50年排出実質ゼロに向けて直線的に排出量を減らした場合の経路上にある。

 この場合の40年度時点の各部門の削減目標の内訳も示した。産業部門は57~61%減(現状の30年度目標は38%減)、事業所での活動などの業務その他部門は74~83%減(同51%減)、家庭部門は71~81%減(同66%減)、運輸部門は64~82%減(同35%減)、発電などのエネルギー転換部門は81~91%減(同47%減)などとした。

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12月19日に環境省と経済産業省が開いた検討会=環境省脱炭素社会移行推進室のYouTubeチャンネルから

 削減目標をめぐっては、経済団体や全国知事会、与党公明党などからは引き上げを求める声が出ていた。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示す世界目標では、気温上昇を産業革命前から1.5度に抑えるには19年比60%減、日本が基準年で使う13年度比で66%減が必要となる。

 ただ、排出削減を引き上げることに伴う負担増を懸念する意見も根強かった。環境省は世界で1.5度目標を達成する経路には幅があり、35年度に60%減とする場合でも、削減量が少ない場合の経路には含まれていると説明。最終的に両省案が採用された。案への反対意見があったことも付記した上でパブリックコメントにかけるという。

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