旭酒造の本社=山口県岩国市で2023年12月7日午後1時5分、植田憲尚撮影

 日本酒「獺祭(だっさい)」で知られる旭酒造(山口県岩国市)は11日、人類初となる宇宙空間での日本酒造りに挑戦すると発表した。2025年後半にも、原料となる酒米や水などをロケットで打ち上げ、国際宇宙ステーションの実験棟「きぼう」内で発酵させ、地球に持ち帰る。100ミリリットル分をボトル1本のみ瓶詰めし、1億円で販売する予定だ。

 将来的な人類の月面への移住を考えて構想した。「きぼう」の活用は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有償利用制度で24年7月に承認された。打ち上げに向け、三菱重工やあいち産業科学技術総合センターの協力を得て準備を進めている。

 現在は専用の醸造装置を開発中で、装置の中に酒米「山田錦」のこうじや、水、酵母などを入れた状態でロケットで打ち上げる。宇宙飛行士に原材料と仕込み水を混ぜ合わせてもらい、その後は地球からアルコール濃度を見ながら発酵を進める。

 その後、できた「もろみ」(どぶろくの状態)約520グラムを冷凍して地球に持ち帰り、搾って日本酒にする。分析に必要な量を除き、100ミリリットルをボトル1本に瓶詰めして「獺祭―MOON 宇宙醸造」として販売する。

 将来的には月にあるといわれる水も使って月面での獺祭醸造を目指すという。【植田憲尚】

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