埼玉県にあるIT企業が運営するアプリでは、登録している食品店などが売れ残るなどした食べ物を定価よりも安く出品し、消費者がアプリで検索して買い求めることができ、100万人以上の利用者が登録しています。
クリスマスのシーズンは、ケーキなどの出品が多く、2024年12月25日のクリスマスには、平常時のおよそ2倍の4000件ほどが出品され、利用者とのマッチング率も1割程度上がったということです。
この会社によりますと、物価高で、売れずに廃棄する食品を削減しようとする動きが加速しているということで、この1年間でおよそ400店が新たに利用を始め、現在およそ3000店舗が掲載されています。
アプリ運営「コークッキング」 川越一磨代表取締役
「クリスマス商戦でたくさんお金が使われる時期なので、店としては、在庫をたくさん抱えることが、重要になります。消費者側とお店の協力関係というのを作って、なるべくロスが少ない世の中に向かっていければと思っています」
アプリを利用している東京・新宿区にあるパン店では、クリスマスイブの24日夕方、クリームが上手に塗れなかったクリスマスケーキや余ったパンの詰め合わせなど6点を定価より安くしてアプリで出品しました。
すると、出品から1時間足らずでクリスマスケーキが売れ、購入した50代の男性がさっそく店に受け取りに来ていました。
ケーキを購入した男性
「いつもこの店でクリスマスケーキを買っていますが今回初めてアプリで買いました。本来は廃棄されてしまうものだと思いますが、こういう形で購入できてうれしいです」
店では、原材料費の高騰が続く中、商品の価格を上げずに販売するため、ことし10月からアプリを利用し食品ロスをなくす取り組みを始め、新たな顧客の獲得にもつながっているということです。
パン店 池田三香子さん
「ベーカリーは食品ロスの代表格のように言われてしまいますが、そこが積極的にフードロスに取り組んでいくというのは大切なことだと思います」
国も食品ロス削減を呼びかけ
クリスマスや忘年会、新年会など会食が多くなる年末年始を迎え、国は、食品ロスを減らすよう店や消費者に呼びかけています。
消費者庁によりますと、日本では食べられるのに捨てられる食品、いわゆる「食品ロス」が年間472万トン発生していて、なかでも、年末年始は宴会やパーティーの機会が多く、食品ロスが増えることが課題となっています。
このため、消費者庁などは、12月から「おいしく食べきる」ことを呼びかけるキャンペーンを始め、ポスターなどを作成し飲食店に掲示しています。
この中で、外食をする場合は、少なめのメニューを活用して食べられる分だけを注文することや、食べきれない時は、店の人に相談して持ち帰ることも検討するよう呼びかけています。
テイクアウトの場合は、放置などせずに帰宅したら早めに食べきってほしいとしています。
飲食店や食品店側には、クリスマスケーキや恵方巻きなど短期間で売る必要がある季節ものは予約制にして必要な分だけ作ることや、食べ切りやすい量のメニューを提供することなどを呼びかけています。
さらに、国は24日、内閣府の会議で商品の売れ残りや外食での食べ残しといった、家庭以外で出る食品ロスを、2000年度に比べて重さにして6割減らすとする新たな目標を設定しました。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。