ハンセン病の患者とされた男性が殺人などの罪に問われたいわゆる「菊池事件」では、熊本県の療養所などに設置された「特別法廷」で裁判が行われ、男性は無実を訴えましたが死刑が言い渡され、1962年に執行されました。

男性を支援してきた元患者たちが国を訴えた裁判で、4年前に「特別法廷」を憲法違反だと判断した判決が確定し、その翌年、男性の遺族が再審=裁判のやり直しを申し立てました。

これまでの審理では、「特別法廷」での差別的な対応が憲法に違反することを理由に再審が認められるかをめぐって検察と弁護団の双方が主張を交わしていて、今後、有罪の根拠とされた凶器や証言などの証拠についても審理を行うかどうかが焦点になっていました。

これについて弁護団は、熊本地方裁判所が5日、当時の裁判手続きの違憲性に争点を絞らず、証拠についても調べる方針を示したことを明らかにしました。

裁判所と弁護団、検察による3者協議は去年7月から行われてきましたが、審理はさらに長期化する見通しです。

次回の協議は12月19日に行われます。

男性の弁護団“裁判所の方針 厳しく批判”

男性の弁護団は、当時の裁判手続きが憲法に違反することを理由に直ちに再審開始決定を出すよう裁判所に求めていました。

弁護団の板井俊介弁護士は会見で「きょう示された裁判所の方針は、憲法が国の最高法規で、それに反する国の処分は無効だという条文の意義を理解しないもので、厳しく批判せざるをえない。今後、法医学者などの証人尋問を速やかに実施し、一日も早く無罪判決を得るよう、全力を尽くす」と述べました。

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