テントの前に立つボランティアの杉山要さん(3月、石川県珠洲市)=共同

能登半島地震で大きな被害が出た石川県珠洲市の鉢ケ崎オートキャンプ場に、ボランティアが宿泊できるテント村が開設されている。被災地での宿泊先確保が課題となる中、金沢市からの日帰りに比べて活動時間を長く確保できる上、能登半島と金沢間の交通渋滞緩和にも一役買うと好評だ。

静岡県裾野市の杉山要さん(66)は妻と3月、石川県輪島市の朝市通りの片付けを手伝うためにテント村に入った。2泊3日の予定で、金沢市から通うより2〜3時間移動を短縮できるといい「少しでも長くお手伝いできたらと思った」。登山が趣味だという杉山さんは「アウトドア好きは十分快適に過ごせて自己完結できる環境」と太鼓判を押す。

呼びかけ人は石川県出身で法政大の水野雅男教授ら。プライバシー保護や感染症防止のため大学のキャンパスにテントを張る避難方法を提案、実証実験を重ねてきた。

元日には地元の白山市で地震に遭遇。被災地でボランティアの受け入れが進まず、支援が不足している状況に危機感を覚えた。長期滞在できれば交通渋滞を起こさずに活動時間を確保できると考え、屋外の電源や駐車スペースなど設備をそのまま利用できるキャンプ場に着目。所有している珠洲市の許可を得て計画を進め、2月下旬にはアウトドア用品大手のモンベル(大阪市)などから提供されたテント50張りを設置、3月からの受け入れにこぎつけた。テントの持ち込みも合わせると100人ほどが滞在でき、宿泊期間は無制限だ。

水野教授は「ようやく態勢が整った。1日1万人が支援に入らないと復興は進まない」と強調。「テント村をきっかけに行政も受け入れを進めてほしい」と話した。被災した実家の片付けで滞在を希望する人もいて、ボランティアに限らず受け入れている。〔共同〕

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。