渋柿を室に入れて煙で燻す独特の製法でつくる釜石特産の甲子柿が出荷の最盛期を迎えています。ところが、2024年は夏の猛暑や9月の豪雨のため実が落ちるなどの被害が発生し、出荷に影響が出ています。

釜石市甲子町の「道の駅仙人峠」の産直はこの時期、朝9時のオープンと同時に多くの客が訪れます。
客の目当ては釜石特産の甲子柿です。

店頭では5個から8個入りのパック詰めが入荷するそばから次々と売れていきます。
甲子柿は釜石市の甲子地区を中心に明治時代ごろから食されてきた秋の味覚です。
渋柿を室の中に入れて、一週間ほど煙で燻すことで渋を抜く独特の製法で作られます。

室で燃やされるのは木くずや桜のチップなど農家によってさまざまで、密閉された室の中で燃やすことで発生した二酸化炭素に渋を抜く効果があるとされています。
トマトのような鮮やかな赤色の実はやわらかく口の中でとろけるような食感です。

ところが、この甲子柿に今年は異変が起きています。

「今年は夏が暑すぎた豪雨の影響も大きい」
こう話すのは甲子柿を作る農家の柏木幹彦さん(55)です。
柏木さんはトマトやナス、キュウリなども栽培していますが、いずれの作物も夏場の高温の影響で実が割れるなどの被害が出たと言います。

(柏木幹彦さん)
「9月に入っても30度以上の日が続いて柿の実が落ちてしまった」

「道の駅仙人峠」の駅長を勤める佐々木雅浩さんによると、出荷量は例年の3分の1程度に留まっていて、箱詰めの贈答用は注文に応えられない状況です。
釜石市は、甲子柿を農林水産省が所管する地理的表示保護制度に登録するなどして生産者への支援やPRに力を入れていて、一時は20人ほどに減った生産者もここ数年で新たにUターンした若い生産者など5人が加わり、盛り上がりをみせています。

甲子柿は11月中旬までが出荷の最盛期で、関係者は一日も早く秋らしい天候になることを期待しています。

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