衆院選の争点にスポットを当てる特集「争点の現場から」です。人口が100万人を下回った富山県…特に若い女性の県外流出が深刻です。「人口減少」への対応が急務となる中で、県内で最も人が減り続けている地域を訪れました。いま、政治に求めるものは何か、聞きました。

地元の漁師が獲ってきた新鮮なタラをぶつ切りにし、余すところなく鍋に入れ味噌で煮込んだ名物、タラ汁。そして、春には残雪、美しい北アルプスの山々を背景に、舟川べりの桜並木、チューリップ、菜の花が描く四重奏を楽しむことができます。

新潟県との境に位置する朝日町…。富山県の中でも最も人口減少が深刻です。町の人口は1950年の2万4000人をピークに減り続け先月、ついに1万人を下回りました。

主な「消滅可能性自治体」に指定

舟本真理アナウンサー
「朝日町にやってきました。街の人は人が減り続けている現状についてどう思っているんでしょうか?」

朝日町民
「うちも子どもたち東京行ってるんですけど」「娘3人やから、それぞれね」

人口減少の主な要因は、女性の流出です。特に20代と30代の女性の減少率が深刻で2050年までの30年間で64%減ると推定されるとして「人口戦略会議」による「消滅可能性自治体」に指定されました。

大きくなって “遊べるところ” が欲しい…

若い女性が減り、生まれてくる子どもの数も激減。10年前には1年間で65人の赤ちゃんが生まれていましたが、ことしは半数以下の30人となっています。

町の未来を担う子どもたちは、何を思うのでしょうか。

舟本アナ
「朝日町は好き?」

舟本アナ
「将来大人になっても住み続けたい?」

男子中学生
「ちょっと県外にもいきたい」

女子中学生
「あんまり…。小さい頃は公園とかで遊べるけど大きくなったら遊べるところがなくなるから」

男子中学生
「ラウンドワンとかコンビニとか、そういうものが無いので、そういうのがもっとあるところにいきたい」

舟本アナ
「ここで結婚して子どもを生んで生活をする夢はない?」

中学生
「いや、そこまで考えていない」

もっと自信もって地域の魅力を発信したい…

最も人口減少が進む町に移住してきた人がいます。

12年前に移住してきた 善田洋一郎さん
「小さい町なので、一人一人のインパクトが非常に大きいと感じています。人口が少ない分、相対的なインパクトが。なので、何かできる人ができることをやると少しずつ変わっていくんじゃないかなと…」

善田さんは、朝日町役場で移住相談員を5年間務めたあと、いまは、NPO法人を立ち上げ、朝日町への移住相談や、空き家の情報提供をおこなっています。

12年前に移住してきた 善田洋一郎さん
「非常に未来がないと思い込んでしまっているので、それはそうですよね。人口2万人時代をずっと見ていますし、商店街もどんどんつぶれていってるのを見て肌感覚で分かっている人たちなので、朝日町には未来はないと、消滅すると思い込んでいらっしゃるんですけど、僕ら移住者からするとそんなことはなくて、すごくいい町で、すごい可能性に満ちているので、なんとかそっちを出して、朝日町楽しいよっていう雰囲気を出せたらいいなと」

移住者の善田さんが政治に求めるものはー。

12年前に移住してきた 善田洋一郎さん
「『何か地方は困っています』『何かください』『助けてください』じゃなくて、もっと地方の暮らしに充実して、非常に楽しく移住して暮らしているので、そういう人たちがいるよってことをもう少し、もっと自信を持って発信してほしいなと思います」

富山県内で進む深刻な人口減少。政治が地方の未来に光を照らすことは、できるのでしょうか。

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