福島県内で長く愛される、老舗の今を伝える老舗物語。今回は福島市の土湯温泉町で江戸時代から続く『こけし工人』です。取材で見えたのは、伝統を守りつつ新しいことにも挑戦していく心意気でした。

福島市の西部に位置する土湯温泉町。古くから温泉街として、地元の方々や観光客などから愛されてきました。そんな土湯温泉町で有名なものは温泉だけではないんです。それが・・・。

『土湯こけし』!土湯温泉町は、日本でも有数の『こけしの里』なんです。そのため温泉街には、様々なこけしを販売しているお店も。

それが、『こけしなところ』です。かわいらしいこけしが工人別に販売されているんですね。工人たちの中でも特に歴史があるのが・・・。

--スタッフ(こけしなところ)「こちらの西山さんの作品なども、とても多く扱っております。6代続いてる工人さんで、ファンの方も多く、『伝統こけし』と『ネオこけし』という新しいデザインのものがたくさんございます。」

ということで西山さんの工房『こけしクラフト西屋』へ。

--番組スタッフ「ご主人、なん代目でいらっしゃいますか?」

--西山敏彦さん(こけしクラフト西屋)「6代目になりますね。江戸末期から初代が始めました。」

なんと創業は江戸時代末期!超老舗のお店なんです。

もともと湯飲みやお椀を作っていた西屋。2代目から土湯こけしを本格的に作り始めました。店内には歴代のこけし工人たちの肖像画が書かれています。隣に書かれているのは、その代で作られたこけし。それぞれ違う雰囲気の顔のこけしなんですね。

--西山さん「じいちゃんは、厳しい表情(のこけし)でした。親父からちょっと優しくなったような感じですかね。場合によってはやっぱり、わざと変えたのかな?自分には自分の世界あるよっていうような感じで。顔とか模様もやっぱり親と一緒じゃないよっていう感じで。」

そんな西屋の6代目、俊彦さんが作るこけしがこちら。かわいらしい顔で癒されますね!

--西山さん「心が和むような、落ち着いたかわいらしいような感じ。」

そして西屋では、伝統的な土湯こけしだけでなく、俊彦さんの父の代から〝新しい形のこけし″を作っているんです。それがこの「えじこ」

--西山さん「モチーフとしては『えじこ』と言って、昔はほら、ザルみたいなのに入れて、子どもを寝かせつけてたっていうイメージで。そのザルをいろいろな形に変えたバージョンで作ってる。」

色鮮やかな絵柄と、丸い形が相まってかわいい!置物として飾っておくだけでも癒されますよね。

ちなみに初代と2代目の顔は、想像で書いたものだそう。西屋の長い歴史を感じる作品ですね。

伝統を受け継ぎつつも、既存の形にとらわれず、新しい形のこけしを作ることで進化し続けてきた西屋。次にバトンを渡す相手は・・・。

--西山さん「1人息子がおりますんで、やっぱりあとは本人の自由にさせたいなというのはありますね。」

息子さんの思いを一番に尊重する俊彦さん。今後もかわいらしいこけしを福島に伝えていってほしいですね。時代に抗うことなく、そのときに合わせたものを作り続けることが、長年愛される秘訣なのかもしれません。

『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2024年5月23日放送回より)

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