京都大と大手ゼネコンの鹿島は18日、人が月面で長期間生活するための人工重力居住施設の実現に向けて共同研究を始めると発表した。模型を使った実証実験などを経て、2028年度に報告書をまとめる予定だ。
月探査は米中など各国が進めており、将来的に人を月に居住させる計画もある。しかし課題になるのが低重力だ。月では地球の6分の1しかない。低重力下で生活すると、骨や筋力が弱まったり、体液の循環に変化が起きたりするなどの影響が懸念される。
京都大と鹿島は22年、「ルナ(月)グラス」と名付けた人工重力居住施設を考案。施設全体を回転させて生み出す遠心力と月の重力とを合わせ、地上と同じ重力を作り出す。高さ400メートル、半径100メートルの施設に最大1万人が居住可能とされ、施設内では植物プランクトンを使って酸素を作り出し、地球と同じような居住空間を再現する計画だ。
今回発表した共同研究では、人工重力が人体へどのような影響を及ぼすかを特殊な装置を使って分析するほか、ルナグラスの2万分の1の模型を使った実証実験などを行い、施設が実現できるかを確かめる。
記者会見した京都大有人宇宙センター長の山敷庸亮教授は「2年前にルナグラス構想を発表した際にはまだ概念程度のものだったが、国内のさまざまな技術を駆使して可能性が高まってきた。宇宙空間に地球環境を再現できる研究を進めたい」と話した。【田中韻】
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