元大阪地検のトップ・検事正だった、北川健太郎被告が部下の女性検事に対して性的暴行を加えた罪に問われている裁判。

北川被告は10月の初公判で「公訴事実を認め、争うことはしません」と述べたが10日、新たに就任した弁護人が「抗拒不能であったという認識はなく、同意があったと思っていたため、犯罪の故意がない」として、一転して無罪を主張する方針を示した。

被害を訴える女性検事は11日記者会見を開き、これまでの経緯や無罪を主張する方針へと転じたことについて、時に涙を流しながら語った。

質疑応答を除いて、女性検事が語った内容の全文をお伝えする。

(フラッシュバックなどの恐れがある方はご注意下さい)


■「無罪を主張していることを絶句し泣き崩れました」「登校する子どもの前でも涙が止まりませんでした」

まず、きのう(10日)元検事正北川健太郎が自身が犯した準強制性交等の罪について、否認に転じ、無罪を主張していることを絶句し、泣き崩れました。

今の率直な気持ちを申し上げると、被害申告なんてしなければよかった。痛みをこらえながら自分ひとりで我慢すれば良かった。そうすればこんなにまで苦しい思いをさせられることもなかった。

家族を苦しめることもなかった。

検事としてのキャリアを失わずに済んだ。

一生懸命仕事をしている職員に悲しい思いをさせることもなかった。

信じていた同僚から裏切られ、信じていた上司から誹謗中傷され、検事総長らから疎まれることもなかった。

親しかった仲間と、楽しく仕事を続けられていたかもしれないのに、被害申告したせいで、私は自分の恥をさらしただけで、大切なものをすべて失ってしまった。

組織のトップから受けた性犯罪被害を訴えることが、これほど恐ろしく、これほどまでにひどく傷つけられることだなんて、思いもしなかった。

私はただ再び苦しんでいる被害者の方々に寄り添うことができる、検事の仕事に戻りたかっただけなのに。

きのう(10日)の弁護人の会見をそのような思いにとりつかれ、夜も眠れず、胸が痛み、息をするのも苦しく、今朝登校する子どもの前でも涙が止まりませんでした。

■「姑息な主張をして無罪を争うことが性犯罪被害で苦しんでいる方を恐怖や絶望に陥れる」

率直な気持ちを話そうと思ったのは、性犯罪被害を申告することが、どれほど過酷で辛いことなのかを知っていただきたかったからです

そして性犯罪事件において、どのように主張すれば、逮捕や起訴を免れやすいか、無罪判決を得やすいかを熟知した検察のトップにいた元検事正が主張を二転三転させて被害者を翻弄(ほんろう)し、世にまん延する『同意があったと思っていた』などという姑息(こそく)な主張をして

無罪を争うことが私だけでなく、今まさに性犯罪被害で苦しんでいる方を、どれほどの恐怖や絶望に陥れ、被害申告することを恐れさせているか、そして、今後さらに多くの性犯罪者に『同意があったと思っていた』と主張させて、性犯罪の撲滅を阻害し、むしろ助長させることになるかを知ってもらいたかったからです。

■「私をどこまで愚弄し、なぶり殺しにすれば気が済むのでしょう」

しかし、私は検事です。検事として正しいことを貫きたいという思いから、お話したかった内容は、きのう(10日)のコメントの通りです。

少し付け加えて、改めて申し上げます。

被告は、私をどこまで愚弄(ぐろう)し、なぶり殺しにすれば気が済むのでしょう。

被告は、初公判で、『罪を認め争うことはしません。被害者に深刻な被害を与えたことを深く反省し、謝罪したい』と述べていましたが、それは保釈を得るための芝居だったのでしょうか。

初公判により被告の卑劣で悪質な犯行や犯行後の言動が明らかになったことで、被告を非難する声が高まっていること、せっかく初公判で罪を認めたのに、保釈請求も却下され、また、私が一貫して判決確定まで損害賠償金の支払いに応じないと表明していることから、いよいよ実刑判決が見えてきたことに焦り、さらに、被告が親しい女性副検事に捜査情報を漏洩させるなどしていた疑いがあり、それについても処罰の可能性が出てきたことから、自己保身ゆえに再び否認に転じたのだと思います。

また被告の親しい女性副検事が処罰、懲戒処分を受ける可能性があるため、被告が無罪を主張することで、女性副検事が行った行為は、罪に問われるようなものではないとして、彼女の逮捕や起訴を免れさせようとしているのだと思います。

被告は事件当初から弁解を二転三転させてきました。

たくさん嘘もついてきました。

被告の再びの嘘を誰が信用するのでしょうか。

検察のトップにいた人が、事件から6年もの間、一度たりとも被害者の苦しみを想像せず、真に罪を償おうと思うことがなかったことは、被害者としてもとても悲しく、検事としてもとても情けないです。

被告がどのように主張しようが、真実は一つです。

司法の正義を信じます。

検察トップが犯した重大な罪と、被害者を傷つけ続ける無反省で無神経な言動に見合った長期の実刑判決を求めます。

■「信頼していた検察組織から心無い対応に絶望と孤立を深め苦しんだ」が記者会見を経て支援のメッセージが寄せられる

次に皆様に感謝の気持ちを伝えさせてください。

令和6年10月25日の初公判後に、会見をさせて頂き、報道各社の皆様方が私の言葉を正確に届けてくださり、私の言葉を聞いてくださった皆様方が温かい言葉をかけて寄り添ってくださっていることに心より感謝申し上げます

私は会見まで、信頼していた検察トップから理不尽な性被害を受け、信頼していた女性副検事から裏切られ、女性副検事や信頼していた検察職員らからセカンドレイプの被害まで受け、信頼していた検察組織から心無い対応をされ続け、絶望と孤立感を深め、とても苦しみ続けていました

それでも今は、検事として目の前の被害者の方々に寄り添うことができなくても、今の私にできることをしたい。

会見でお話できることで、理不尽な被害に苦しんでいる方々に少しでも寄り添い、性犯罪の撲滅につなげることができたらと思い、無我夢中でお話させていただきました

会見後、面識のないたくさんの方々が「With You あなたと共にいます」という心強いメッセージを寄せてくださり、性犯罪被害者支援団体の方々が、引き続き、応援メッセージを寄せてくださったり、ネットニュースのコメント欄でもたくさんの方々が共感して、励ましてくださりました。

私は、そのコメントをスクショにして自分の携帯に保存して、お守りとしています

『同じように理不尽な性被害に苦しんでいることをお話してくださり、勇気をもらった。今から警察に相談に行く』とおっしゃっておられた方もいらっしゃいました。

■捜査で関わった警察官から「検事の信念と勇気に力をもらえた。これからも被害者の方々のために戦う」とメッセージ

友人の元警察官が支援の会を立ち上げてくださり、私をずっと支えてくださってきた現職の検察職員、OB、医師、心理士、友人など大切な方々や、会見を聞いて私だと気づいた現職の検察職員も連絡をくれて

「私は味方、ずっと応援し続ける」というメッセージを寄せてくださり、一緒に戦ってきた警察官の方々も連絡をくれて、『検事の信念と勇気に力をもらえた。これからも被害者の方々のために戦う』というメッセージを寄せてくださいました。

私は自分の被害を知られたくなかったことや、私の個人情報が特定されることで、検事という職業柄、私や家族に危害が及ぶことを避けるため、ほんのわずかな方々にしか、自分の被害を明かしていませんでした。

ですから、今も名前や顔を伏せてお話させていただいております。

会見で私が被害者だと気づいた検察職員の方々の中にはそのような事情を汲んで、私への連絡を控えているものの、心配や応援をしてくださっていると伝え聞いています。
きのう(10日)の元検事正が否認に転じた報道を受け、このような応援団の皆様方が心配をしてくださったり、新たに性犯罪被害者支援団体の方が、支援を申し出てくださり、心強く思いました。

■「一緒に戦ってきた子どもさんとお母さんが『頑張れ』とエール」

そして私が検事として寄り添い、一緒に戦ってきた子どもさんと、お母さんがテレビ前で前回の会見で泣きながら話していた私に対し『頑張れ』とエールを送ってくれていたと聞きました。

私が、被害申告できたのは、この勇敢な子どもさんや、同じように一緒に戦い続けてきた被害者の方々の勇気に後押しされたからでもありました

今また背中を押してもらっていることに、深く感謝しています
皆様方の深い思いが凝縮されたメッセージや記事を読ませていただき、私は1人じゃない、たくさんの方々が寄り添ってくださっている。そう感じることができて、とても力を頂きました。

皆様方のメッセージは、私自身が前に向かって歩いていくための原動力であり、生涯の宝物です。

心より感謝申し上げます

また、私や家族が安全に生活できるようご配慮してくださり、個人を特定したり、個人情報を掲載したり、直撃取材などをせずにいてくださっていることにも、心より感謝申し上げます。

被告が否認に転じたことで、この戦いが長期戦に持ち込まれてしまい、また女性副検事による二次被害などもあり、私も家族も疲弊しています。

皆様のお力添えが力になります。どうぞ引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

■「支援の会」が設立 「傷ついている方々とか報われない方々に『共感・エンパシー』を」

知人の元警察官が立ち上げてくださった支援の会のグループメールアドレスをここでご紹介させて頂きます。

Unmetempathy@googlegroups.com

です。

アンメットは、「アンメット」っていうドラマがあったかと思うんですけど、傷ついている方々とか、報われない方々に「共感・エンパシー」をしたいという意味で、「アンメット エンパシー」というアドレスにしています。

こちらは、その管理者と私が、こちらに送って頂いたメールを拝見させて頂くことができます。

今後私を支援していただきたいという思いはありますが、私自身が苦しんでいる方々の支援をしたいという思いもありますので、そういった意味で多くの方々とつながりたいと思っております。よろしくお願いします。

■「司法の中にも同意の意義などを正確に理解していないものが少なからずいて被害者をさらに傷つける」

きのう(10日)の中村弁護人の会見で被告人(北川被告)が無罪を主張しました。被告人のそれぞれの主張に対して、私が今お話できること、検事としての知見や知識から客観的に述べられることをお話していきたいと思います。

被告人は具体的には、「事件当時、被害者が抗拒不能であったことは、合理的な疑いがある。事件当時、被告人には、被害者が抗拒不能であったという認識がなく、被害者の同意があったと思っていたため、犯罪の故意がない」と主張しました。

そして被告人は「自分の記憶と認識に従って主張することにした」と述べています。

この「抗拒不能ではなかった」、「抗拒不能の認識がなかった」、「同意があったと思っていた」について、述べたいと思います。

報道を見ていると、ほとんどの性犯罪事件で「同意があった」、「同意があったと思っていた」という同意誤信が主張されています。

そして残念ながら警察官、検察官、裁判官、弁護士さんという司法の中にも、性犯罪の本質や同意の意義などを正確に理解していないものが少なからずいて、勇気を振り絞って被害申告した被害者をさらに傷つけ、被害申告したことを、後悔させ、一生苦しませるという事態が、多く起きています。

そして法律を熟知する検事正であった被告人までもがこのような弁解をしているわけです。

そうすると、性犯罪者は皆、同じような主張をするでしょう。

このように性犯罪の本質だったり、同意の意義だったりを正確に理解し、国民の皆様方や司法関係者に周知徹底することが必要だと考えています。

令和5年7月施行の「不同意性交等」が導入された刑法などを一部改正する法律、令和5年法律第66号を成立させる際に、衆参両議院の各法務委員会において、以下の付帯決議が付されています。

抜粋ですが、不同意性交等における同意の位置づけ、及び意義、また地位、関係性要件などの改正法の趣旨及び構成要件について、国民に対する普及啓発を推し進め、十分に周知徹底を図るよう努めること。

司法警察員等の関係者に対しても、法改正の趣旨を周知徹底し、十分な研修等を行うこと、とされています。

これは、政府及び最高裁判所に求められていることであり、当然検察庁にも求められたものです。

しかし、実際には周知徹底されていないことで、一部の法を正しく理解していない司法関係者により、被害者が傷つけられている実態があり、性犯罪がはびこる原因になっていると考えます。

私は今、検事として、目の前にいる被害者の方々の力になることはできませんが、検事である被害者として、性犯罪の本質や同意の位置づけや意義、地位、関係性要件等の改正法の趣旨、及び構成要件などを説明し、周知していただくことで、加害者の不合理な弁解を許さないこと、そして性犯罪の撲滅につなげていきたいと思っています。

この法改正が行われた経緯が、これまで多数の性犯罪被害者が一部の司法関係者により法律を限定的に解釈されたことで、声を上げても届かないことに苦しんできました。

その多数の方々の苦しみを当事者団体の方々や専門家の方々が、血のにじむような努力を重ねて国に訴え続けてくださったことで、この法改正が行われました。

法務大臣はこの法改正の趣旨について、性犯罪は被害者の尊厳を著しく侵害し、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続ける悪質重大な犯罪であり、厳正に対処することが必要です。

この法律案は性犯罪を巡る状況に鑑み、適切に対処できるようにするため、性犯罪の罰則規定が安定的に運用されることに資するために改正するものですと言っています。

■「不同意性交等」導入の法改正は「規定が明確化されたことによって、改正前の刑法のもとでも、本来なら処罰されるべき行為がより的確に処罰されることとなるもの」

次にどのように整理されたかです。

改正前の暴行または脅迫を用いて、あるいは心神喪失、抗拒不能といった要件については、改正前の判例上の解釈において、抗拒を著しく困難にさせる程度であることを要するとされていることなどから、個別の事案において、これらの罪の成立範囲が限定的に解される余地があり

安定的な運用を確保する観点からは、処罰すべき行為を適切にとらえ、そして構成要件該当性の判断にバラつきが生じない規定とすることが重要であるという指摘がなされました。

そこで、法改正においては、より明確で判断にバラつきが生じない規定とするため、性犯罪の本質的な要素である、自由な意思決定が困難な状態でなされたわいせつな行為、性交等であるという点を同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うすることが困難な状態という文言を用いて

中核的な要件として規定したうえで、当該状態にあることの要件該当性の判断を容易にし、安定的な運用を確保するという観点から、当該状態の原因となりうる行為、またはその事由を具体的に例示列挙するということとされました。

性犯罪の本質は、性交等に関する自由な意思決定が困難な状態でなされた性的行為を処罰することにあると考えられていますが、法改正によって定められたこのような条項は、このような性犯罪の本質についての、考え方に変更を加えるものではなく

改正前の刑法のもとで処罰できなかった行為を新たに処罰対象として、追加するものではない。

そして規定が明確化されたことによって、改正前の刑法のもとでも、本来なら処罰されるべき行為がより的確に処罰されることとなるものであるとされています。

要するに法改正によって、かつて処罰できなかったものを、処罰できるように、処罰範囲を広げたということではなくて、改正前にも本来処罰すべきものが、限定的に解釈され、処罰されてこなかった現状を踏まえて改正によって、安定した法適用ができるように明確化してくださった。

だから改正前の事件においても、改正後のこの考え方や要件の該当性というのを、考慮して判断すればいいということになります。

ですから、私の事件は法改正前の事件ですが、この法改正によって定められた同意の意義や、構成要件などの該当性についての解釈などをしていくということになってきます。

さきほどの同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うすることが困難な状態として例示列挙されている行為などは、
1.暴行もしくは脅迫を用いること、またはそれらを受けたこと
2.心身の障害を生じさせること、またそれらを受けたこと
3.アルコールもしくは、薬物を摂取させること またはそれらの影響があること
4.睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること またはその状態にあること
5.同意しない意思を形成し、表明し、または全うするいとまがないこと
6.予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、もしくは驚愕させること、またはその事態に直面し、恐怖し、もしくは驚愕していること
7.虐待に起因する心理的反応を生じさせること、またはそれがあること
8.経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること、またはそれを憂慮していること

これらの行為や、これに類する行為などにより、同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じて、性交等をした者が処罰されるのです。

改正前の被害を受けた方が、改正後であれば処罰して頂けたのに、改正前だから処罰してもらえないんだと勘違いされている方もいらっしゃるかもしれないし、司法関係者もそのような勘違いをされている方がたくさんいらっしゃると思いますが、そうではないということをここではっきりと、お伝えしたいと思います。

■自身の被害も「同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うすることが困難な状態として例示」された行為に該当と訴え

そして私の被害については先ほど述べた
3.アルコールもしくは、薬物を摂取させること またはそれらの影響があること
4.睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること またはその状態にあること
5.同意しない意思を形成し、表明し、または全うするいとまがないこと
6.予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、もしくは驚愕させること、またはその事態に直面し、恐怖し、もしくは驚愕していること
8.経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること、またはそれを憂慮していること

の行為などに該当すると考えています。

そしてそれにより同意しない意思を形成、表明、全うすることは困難な状態にさせられてそれに乗じて性交等をされたと考えています。

もう少し詳しく説明します。

同意しない意思を形成することが困難な状態というのは、性交等をするかどうかの判断、選択をする契機、きっかけや能力が不足し、性交等をしないしたくないという発想すること自体が困難な状態。

次に同意しない意思を表明することが困難な状態というのは、性交等をしない、したくないという意思を形成、作ること自体はできたものの、それを外部に表すことが困難な状態。

そしてそれを全うすることが困難というのは、性交等をしない、したくないという意思を形成したものの、あるいはその意思を表明、表したものの、その意思の通りになるのは困難な状態を意味します。

そしていずれの場合も著しく困難である必要はなく、困難の程度は問われていません。

1の要件、暴行、脅迫ですが、その程度は問われていません。

アルコールなどについては、その種類や摂取量も問いません。

睡眠その他の意識が明瞭でない状態とは、完全な睡眠状態ではないものの、半覚醒状態で意識が朦朧としている状態、極度の過労により、意識が朦朧している状態なども該当します。

予想と異なる事態には、いわゆるフリーズの状態、すなわち被害者が予想外の事態に直面したり、予想を超える事態に直面したことから

自分の身に危害が加えられるかもしれないと考えたり、驚くなどして、平静を失った状態を捉えようとするもので

予想と異なる事態は、実際に生じている事態が被害者の予想をしたところとは異なることを意味します。

そして予想と異なる事態に直面させて、恐怖させ、驚愕させることとは、例えば加害者が性交等を求められるとは予想していない被害者に対し、性交等の手段として、2人きりの密室で性交等を迫ることで、被害者を恐怖、驚愕させる行為も含まれます。

社会関係上の地位です。家庭、会社、学校などの社会生活における人的関係、例えば上司と部下、教師と学生など、そして社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益は加害者による性交等に応じなければ、加害者の社会的地位に基づく影響力によって被害者自らや、その親族などが受ける不利益を意味します。

例えば、従業員である被害者がその仕事の有無や内容等に影響を及ぼしうる地位にある会社の社長による性交に応じなければ、当該社長の地位に基づく影響力故に、仕事を得られなかったり、希望しない仕事をさせられるそのような不安を抱かせるというようなことです。

■「故意」については

そして今問題となっている故意についてです。故意は加害者においてこのような客観的構成要件に該当する事実、すなわちこのような原因行為などがあること、それによって、被害者が同意しない意思を形成、表明全うすることが困難な状態になり、またはそういう状態にあること。 

そのような状態のもとで、そのような状態を利用して性交をすること、これをいずれも認識していることが必要ですが、このような原因行為、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にあることについては、その規範的な認識、法律上にあたる評価の認識は不要で、何が必要かというと、それを基礎づける事実の認識があれば足りるのです。

ですから、戻ると、例えば、加害者と被害者の関係性、その被害者がアルコールを摂取していること、個人的な関係もないのに、アルコールを飲んで酔っている被害者を加害者の自宅、2人きりの自宅、密室に連れ込んで、性交を求めること

こういったことは被害者の予想と異なる事態に直面させるわけでありますから、こういった事実を認識していれば足りるとされているということです。

■「抗拒不能の状態でなかった」といわれるが…

もう少しだけ法律の話をさせてください。
抗拒不能を今回争われています。私は抗拒不能の状態でなかったといわれています。

改正前の事件ですが、名古屋高裁、令和2年3月12日判決。

これは、岡崎支部の地裁判決で、実父が実の娘に対して行った準強制性交等事件について、抗拒不能であったとはいえないとして無罪判決を言い渡した時の控訴審判決で、破棄自判により有罪判決を言い渡し、最高裁でも維持され確定している判決で

準強制性交等罪の要件としての抗拒不能の該当性については、相手方の年齢、性別、相手方との関係、犯行に至る経緯、犯行の行われた時間・場所・周囲の状況、その他、具体的事情をふまえて相手方において物理的また心理的に抵抗することが著しく困難な状態であれば足りると判示されていました。

このような様々な判断要素を総合的に判断して物理的または心理的に抵抗することが困難かどうかということを判断しなさいと法改正前も言われていたわけです。

そして法改正後の要件は先ほど述べた通りなので、あのように解釈しなさいよということになってきます。

同意誤信というのが主張されているのは、もう以前からです。

私の件で言ったら、抗拒不能状態にあることを認識した場合、なお有効な承諾があったと認めるには特別の客観的事情が必要で、その客観的事情が確かになるな、有効な承諾があったと言えるな、そういう風に思っていてもしょうがないなと判断するには非常に慎重に判断しなさいよとされていいます。

だから、「同意があったと思っていました」というだけではだめなんです。

そして、抗拒不能状態を基礎づける客観的事実の認識をしていれば基本的には故意があったと判断するのです。

そして「認知の歪み」というのもよく聞くワードだと思います。

この「認知の歪み」というのは、判例で「このような被告人の認知の歪みについては、故意を否定する事情にはなり得ない」と判断されている判決もありますし

福岡高裁・令和2年2月5日判決は、1審無罪に対し逆転有罪にした事件ですが、「これは飲酒酩酊のために眠り込んで、根拠不能状態にあった被害者に対して性交した事件について

同意があったと勘違いしていたと主張している被告人の主張に対し、1審無罪判決は「被告人が当日、女性に対して安易に性的行動に及ぶことができると考えていたという被告人の供述を同意誤信の根拠としているが

そもそもそのような非常識な発想を誤信の根拠とすること自体が不合理である故、男女間における性的行為に対する同意という極めて個人的な事柄を推論する際に用いることは相当ではない。

被害者は酔いつぶれていたのだから、被告人との性交にまで同意したと考えるには何段階もの飛躍がある。被害者は飲酒酩酊のため抗拒不能の状態にあったのであるから、被害者が明確な拒絶の意思を示すことができないのは当然であり、被告人にとって被害者が性交を許容していると誤信するような状況であったことを裏付けるとはいえない」と判示して、有罪判決を言い渡しています。

これは最高裁でも確定しています。以上が法的なお話です。

■「抗拒不能」 被告との関係性や参加者の供述などから「十分に認められると考えています」

これを踏まえて、本件において、私が抗拒不能の状態であった点につきましては、さきほどの被告人と私との関係性、被害を受けるまでの経緯、そして懇親会参加者の信用できる、CさんDさんらの供述、クレジットカードの署名、私の供述などから、私が飲酒酩酊で抗拒不能であったということは、もちろん十分に認められると考えています。

被告人は抗拒不能であることを認識していなかったと弁解していますが、なぜ認識していなかったんでしょうか。

被告人と私の関係性は繰り返しお伝えしていますので省略しますが、本当に単なる上司と部下の関係にすぎず、個人的に2人で検察庁の庁舎の外で会ったことすらない。ランチに行ったことすらない。被告人と私が懇親会で食事したのはすごく前、数年間の間に5、6回しかなかった。

いずれも他の検事が参加していたものです。この懇親会についても、私と被告人以外の4人の、しかも外部の警察官も参加するような、言ったらオフシャルのような懇親会であり、プライベートですけど、言ったらオフィシャルのような懇親会だと思っています。

それまで被告人から私に好意を持っていると言われたことはもちろんありませんでした。

被告人自身、直筆の書面で「被告人が好意を持っていることをおくびにも出さなかった。知られたくなかったから」と書いてありました。

私ももちろん彼が私に好意を寄せているなどと考えたこともありませんでした。そして、真実は、彼が私に純粋な好意を持っていたのではなく、性的な関心をもっていただけだと考えます。

そのような関係性や至る経緯において、被告人が、私がそのような不同意の性交等に応じるような関係性ではないということはわかっていただけると思うし、被告人自身がその基礎となる事実認識してるわけですから、被告人もその認識があったと考えます。

■被告人は大阪地検の検事正 約800人の職員のトップ 「検察庁の王様」

それよりもなによりも、被告人は大阪地検の検事正でした。
大阪地検は約800人の職員が所属し、彼はその職員のトップでした。彼の指揮下で私たちは仕事をしていました。

彼は全ての職員の人事権も持っていましたし、すべての職員の業務の最終判断権者でもありました。彼に逆らう人は誰一人いなかったと思います。

彼をとりまく検察幹部も、彼を批判したり彼の意見に逆らうような人もほとんどいなかったと思います。彼は非常に、そうですね…王様です。検察庁の王様だったわけです。

そして法律を遵守する者でした。最高検の監察指導部というのは、検察職員の非違行為などを取り扱う部署だと思います。彼は検察幹部として、またそういう部署にいて、数々の職員のセクハラ、パワハラ、性犯罪などを取り扱ってきていました。その中で、検察幹部が部下に対して、酔って部下にセクハラなどをしたことについて、幹部が責任を取り辞職に追い込まれたケースも彼の検察幹部時代に何度かあったと私は認識しています。

そもそも検察幹部は、パワハラ・セクハラ研修を受けています。その研修の中では、仮に部下の職員が好意を寄せてきたとしても、それに応じてはならない。非違行為に当たるから、パワハラ、セクハラに当たるからという研修を受けているはずです。

部下と性的関係を持てば懲戒処分になることが当然予想されます。そういう立場に彼はいたわけです。そして、私は当時、ヒラの職員でした。なんの力もないただの一般の検事でした。

その絶大な支配者と部下の関係にあったことをご理解いただきたいと思います。

そして、何より彼は、公の立場にあり、既婚者でした。妻子がいました。私も夫と子供がいました。そのような関係性において同等の立場で性交に応じたり、それを許容したりするような関係性があるとは考え難いということは、先日、岸和田市長の和解調書などでも裁判所が述べられていたように記憶しています。

あの例について言及するつもりはありませんが。

■被告は「呂律も回り足取りもしっかりした程度の酔い」 「私が飲酒酩酊によって抗拒不能な状態であることを十分に認識していたと言える」

次に、具体的に私が抗拒不能だったことを彼が認識していたことについて、他にもお伝えしたいところです。

懇親会の席は狭く、参加者6人がぎゅっとまとまって座っていた状況でした。そこの中で、被告人は呂律も回っていて、足取りもしっかりしていた程度の酔いの程度だったということですから

懇親会で私が、ほとんど机につっぷして寝ていたり、呂律がまわらなくなっていたり、店を出た後、被告人と女性副検事から両脇から体を支えられながら、ふらつきながら歩いていた様子だったり、タクシーに乗せられたあともほとんど眠りかけていた様子だったり、被告人が二次会を誘ってきたのを、私が断って1人で帰ると言っていたことも当然認識していたと言えます。

そういうわけですから、被告人は当然、私が飲酒酩酊によって物理的にも抵抗することが著しく困難である抗拒不能な状態であることを十分に認識していたと言えますし、さきほどの関係性から言っても、また飲酒酩酊によっても心理的にも抵抗することが著しく困難な状態にあったと認識していたと考えます。

■当初は性交を「覚えていない」 のちに直筆書面で「嘘」と認める

この点、被告人は、被害当初、この性交等を含め何も覚えていないと言っていました。
これはのちに、直筆の書面で「嘘でした」と、自分が嘘をついたことを認めています。

そして、私が「上級庁に訴える」と追及して書かせた直筆の書面において「被告人は、ずっと前から私のことが好きだった。でもそれを言えずにいた。そうしたところ、懇親会で酔った私が被告人の頬を触りながら、『私の事好きでしょ』と発言した。だから被告人は私も被告人のことを好きで、私が性交に同意するだろうと思った」

首をかしげておられる記者の方もいらっしゃいますが、そう主張していました。
この頬を触って「私のことを好きでしょ」と言っていたという事実自体は、懇親会参加者のCさんやDさんらが否定していますので、このような事実はなかったと検察庁は認定していますし、私も今はそのように思っています。

しかし、仮にこの言動があったとして、職員がたくさんいる前で、酔った私が「私のこと好きでしょ」と言ったとして、それがなんで性交に同意していると勘違いすることになるのでしょうか。

私、懇親会の話題の中で、私は酔っ払っていて途中から覚えていないんですけど、覚えている会話の中で、私が担当していた虐待事件について当時、その虐待事件を決済していた検察幹部がその事件はとても難しい事件で、その種の事件は無罪も連発していたので、非常に慎重な捜査が必要ではありましたが。

■検察幹部の「パワハラじみたこと」を改めるよう求めるも叱責され…

一方で亡くなった子供のために、残された遺族のために、真相を解明するために必死になって捜査をして被疑者の逮捕につなげようと警察とともに頑張っていたわけですけれども、ある時、その犯人が自殺をするのではないかという動きを見せたため、急いで逮捕する必要がありました。

また、当時、検察はその手の事件にすごく慎重で、逮捕させることすらしなかったので、警察においても、検察に対する不信感を募らせ、検察庁に対して逮捕させてほしいという風に申し出している状況でした。

そのようなことから、私はその幹部に対して、「今すぐ逮捕させてほしい」「やるだけのことはやったので」と伝えたところ、幹部は頑なに逮捕を許さず、私に対して、「お前は警察の犬か」と言い放ったわけです。

私は、そのように言われても、自分がやること、やっていることが正しいと思っていたので、その幹部のより上位の幹部に対して、「この件を逮捕して、きちんと真相解明する必要がある」と言って、ようやく逮捕させてもらうことができました。

そして、そのあと条理を尽くして被疑者を取り調べた結果、当時否認していた被疑者も罪を認め、真相も解明し、亡くなられたお子さんや悲しんでいる遺族に応えることができたと思っています。

ただ、これは私がこういう性格というか、正義を貫きたい性格であるため幹部に対して、怖いですけど怯まず挑んでいった結果だと思っていますが、普通の現職の職員であれば、そのように幹部にたてつくことは到底できません。

ですから、私はこの事が非常に問題だと思っていましたし、これを検事正である被告人に対して、知っていただくことによって検察幹部に指導していただきたいし、ほかの幹部に対してもこのようなパワハラじみたことをやめるように周知してほしいと思い、今、お話したようなことを懇親会の場で言いました。

そうしたところ被告人は、「平の分際で上司の悪口を言うな」と私を強く叱責しました。

私はパワハラを訴えているのに、自分のその言葉を聞いてくれないことに、とてもショックを受けました。彼自身も私に対して以前、「この窓から飛び降りろ」だとか、「お前の顔を見たくない」ということを決済の最中に言ったことがありました。

しかし、それは若かった頃の私の仕事ぶりに対しての厳しい指導だと思い、それについてこれまでとやかく言うつもりはなかったですけど、要は検察組織の中にそういうパワハラ気質だったり、体質だったり、セクハラ体質だったりがあり、それを訴えても検察組織がこれまできちんと改善してこなかった結果だと今は残念に思っています。

何が言いたいかというと、そのように懇親会で非常に不穏な雰囲気になり、懇親会の場がシーンと静まり返りました。

私としては、やばいなと、場を乱してしまったなと、被告人の機嫌をとらないといけないなと、でも機嫌をとれるのは私しかいない。

だから、被告人の機嫌をとるようなことをもしかしたら言ったかもしれません。でもそれは自分は覚えていないので、何を言ったのか、言っていないのかも覚えていません。

でも仮にそういう経緯から私が、何らかの被告人の機嫌を取る発言をしていたとしても、その流れや文脈から、酔っ払っているんだなとか、機嫌をとろうとしているんだなと当然、被告人は認識していたはずです。

■女性副検事の調書に残されていた「明らかな虚偽」

さらに言うと、女性副検事は捜査段階で、私の認識しているところです、今からお話しするのは。私が検察庁から開示を受けた、女性副検事の調書に書かれてあることです。

女性副検事は、私が被告人のことをとても好きで、以前から被告人と飲み会をしたいと、ずっとしつこく言っていたから、副検事がこの飲み会をセッティングしてあげた。

私は、飲み会の最中も被告人に対して、「ずっと前から被告人のことが好きだ」、「チューして」、「ハグして」と手を広げるなどして好意を示していたと供述していました。

さらに、私の飲酒酩酊については、店を出た後、被害者は酔ってはいたものの段差でよろめいたぐらいで、足取りはしっかりしていて、むしろ被告人が泥酔している様子だった。

だから、副検事が私に対して、「検事正をタクシーで官舎まで送ってあげてください」と私に依頼した。私は「オッケー」と言って、検事正を私が官舎まで送り届けたと供述していました。

そして、彼女はこの懇親会では6人中5人はお酒を飲んでいて酔っていたが、彼女はお酒を飲まないので、私だけがしらふだったということを強調し、あたかも自分の記憶が最も正確であることを訴えるかのような供述もしていましたし、或いはこの被告人が私に対して行った性被害、レイプについては、ことしこの聴取を受けるまで一切知らなかった。

だから、私は純粋な第三者なんですということをアピールするような供述もされていました。

私が被告人の事を好きで飲み会をセッティングしてもらったというのは、明らかな虚偽であり、懇親会で私が「チューして」、「ハグして」と言っていたのも、Cさんらが否定してくれて、それらの事実もないと検察庁は認定していて、被告人自身も副検事が言ってる懇親会でのそういう発言を私がしていたということも記憶をしていないと供述していますし

逆に、被告人が言っていた、「私のこと好きでしょ」という発言自体、副検事はそんなの聞いたことがないと言っています。

要するに、そこの発言(「私のこと好きでしょ」)については被告人が1人で言っているだけ、(被害者の女性検事が「チューして」、「ハグして」と言っていたということは)副検事が1人で言っているだけとういことです。

で、一番肝の部分の飲酒酩酊の部分です。
女性副検事は、私が酔っていなかったと勘違いしていたのか。

Cさんの話では、女性副検事と被告人が、足をよろめく私の身体を支えながら、タクシーに乗せていたわけです。

しかも、懇親会の最中も、私が酩酊している様子を狭い机の上で、彼女自身も見ているわけです。

そして何より、被告人が、令和元年10月に書いた直筆メモにおいて、被告自身が女性副検事に対して、なぜ被告人がタクシーに乗り込んだのかの経緯を聞いたところ、被告人はそれを覚えていなかったということで副検事に聞いたらしいですが

副検事が「被害者の私が酔っているので、被告人がタクシーで私を私の自宅まで送っていきなさい」と、女性副検事が被告人に言って、被告は私を私の自宅まで送るためにタクシーに乗り込んだんだということが、副検事から聞いた話によってわかりました、と書いてました。

そうすると、副検事は私が酔っていて、誰かに送ってもらわないといけないほど酔っていたことを認識していたわけです。にもかかわらず今回の捜査の段階で、全く逆の事実を述べていたわけです。

この当時、被告人は「私が抗拒不能状態になかった」、「抗拒不能の認識がなかった」、「同意があったと勘違いしていた」と弁解していました。

■捜査情報を「北川被告の代理人・最初の弁護人に漏らしていた」と「調書で確認」

そして女性副検事と被告人は、女性副検事は被告人の内偵捜査中の5月20日以降、「最高検の捜査が入っている」などと捜査情報を被告人の当時の代理人、初代弁護人に対して漏洩していたと彼女の調書で確認しています。

彼女は最高検の聴取において、この事件の捜査が始まっていること、聴取を受けていることは絶対に他言無用だというふうに言われ、それを了解していました。にもかかわらず、非常に重要な捜査情報を漏えいしていたと、私は認識しています。

また最高検の聴取において、副検事は被告人との通信履歴、メッセージの履歴や通信履歴を写真撮影させてほしいと要望され、それを拒否し、そして最高検の検事から「じゃあ、その履歴を削除しないでね」と要請され、それを了解していたにもかかわらず、被告人とのメッセージや通信履歴を削除していました。

それどころか捜査情報を漏えいしていた、初代弁護人との履歴も、その都度削除していたと、副検事の調書で確認しています。

被告人の弁護人から被告人の当時の供述内容についても、一部聞いていたというようなことも彼女の調書で確認しています。

■参加者の女性事務官に接触図り…

そして彼女は、今年の聴取で初めて、この事件を知ったと供述していましたが、実は令和元年の被告人が辞職する前の時点で、被告人から私に対して性被害・性犯罪をして、私が非常に被告人を非難していることなどをその副検事に伝えていたということを、各証拠で確認し、あるいは検察官から聞いています。

そうすると彼女は、令和元年段階から被告人とこの件について、何らかの話し合いがもたれ、そして今年度に入っても、このようなことをしていたというふうに私は認識しています。

彼女はさらに「他言無用」だと言われていながら、「誰にも接触するな」と言われていながら、事件関係者に接触するなと言われながら、参加者の女性事務官に対して、接触を図り、会おうとしていました。意図はわかりません。

ただ私が推測するに、その女性事務官に対しても、どうせ彼女も酔っていて憶えていないので、女性副検事が捜査段階で言っているような内容が、「私が酔ってなかったよ」っていうような内容を伝えることで、口裏合わせをするよう求めようとしていたのではないかと憶測しています。

その女性事務官は「関係者と接触するな」と言われていたので、接触することは結局なかったですけれども。こういったことが行われている中での、被告人は私が飲酒酩酊・抗拒不能状態にないということについて、具体的ないろんな弁解をし、あるいは同意があったとうかがわせるような、私の被告人に対する好意のある発言があったという主張をし続け、そして副検事はそれに沿うような供述をしていた。

しかし客観的な証拠、Cさん、Dさん、あるいはクレジットカードの履歴などからすれば、彼ら彼女の供述は信用ならないと検察庁は判断し、私もそのように考えています。

■女性副検事を「証拠隠滅、犯人隠避の罪」などで告発 さらに「同意していた」「賠償金受け取った」と吹聴したことについて「名誉棄損」で告訴

そういう事実を、私自身が9月3日に開示された証拠によって把握したので、彼女に対して国家公務員法違反、証拠隠滅、犯人隠避の罪について、10月1日に告発し

さらに彼女が名誉毀損、つまり単に噂好きの人が「同意してたんだよ」とか言ってるんじゃなくて、副検事はまさに自分が事件関係者であり、事件の真相を知っているという前提で

「被害者は酔っておらず、同意をしていたんだと思う。賠償金についても、受け取っていて、なのに被害申告をしている」。あるいは「PTSDは詐病である」などという吹聴。そして私が被害者であるという吹聴をしていたと、吹聴相手から私自身が聞くなどして、認識したため、名誉毀損として告訴しています。

被告人に対しては、当時この捜査妨害行為について、なぜか検察組織・検事総長…この事件は検事総長ら上位幹部が全ての判断を行っていますので、その幹部らがこの捜査妨害について、被告人の取り調べを充分に行っておらず

またこの中間に入っている初代弁護人の取り調べや携帯電話の差し押さえなども一切行っておらず、また彼女に対して、処罰や懲戒処分なども一切しておらず、そういったことをしていることを私、被害者である私や私が所属する大阪地検に対しても一切、情報を伝えず、私をその女性副検事と同じフロアに復帰させたわけです。

■PTSDを抱えながらリハビリ出勤も…

私はPTSDの病気を抱えながら、治療を続けながら、この被告人の捜査・起訴に向けて精一杯やって来ました。そして現場の検察官らが懸命に捜査してくださった結果、客観証拠やあるいは女性副検事らのそういった捜査妨害行為などと疑われることも解明してくださったので、起訴していただいたと思い、非常に感謝しています。

だからこそ、私は病気・痛みを抱えながらも、早く検事の仕事に復帰したいと思い、検察庁に、検事の仕事に復帰したいと思い、7月下旬からリハビリ出勤を始めました。

まさに職場の同じフロアに、その女性副検事がいたわけですが、私はその事情を聞かされていなかったので、また「あの副検事と接触するな」と言われていたので、彼女にはこの件で事情聴取など迷惑をかけたことを申し訳なく思っていたため、自ら接触することは当然せず

同じフロアの女性トイレで鉢合わせることを避けるため女性トイレも使わず、職員が使うエレベーターを使わず、階段を使ったり、別のフロアのトイレを使ったり、荷物を運ぶ搬送用エレベーターを使ったり、職員らが移動する時間を避け、部屋からできるだけ出ないようにして

顔をマスクで覆い、誰にも私を見られないようにして、そうやってリハビリ出勤を続けていました。

■「誹謗中傷が最高検や法務省にまで」「信頼していた上司が誹謗中傷」

ですが、9月3日に開示されたその証拠によって、女性副検事などのそういった行為がわかり、さらにその後、彼女たちが名誉毀損していたことを知り

私のそういった誹謗中傷は大阪地検だけでなく、遠く最高検や東京地検、法務省にまで広まっており、起訴前の時点で被害者が私であることや、夫の個人情報まで広まっていたことも最近知りましたし

私が信頼していた上司らが、被害者を誹謗中傷し、「この事件は筋悪の事件で、被害者が被告人を『好き、好き』と言っていた、『ラブ、ラブ』と言っていたんだ」って言って

「筋悪の事件で、『被告人が出てきたら、みんなで温かく迎えてあげましょう』って言っている人がたくさんいるから、被告人はやっぱり人格者というか、人徳があるんだな」というようなことまで吹聴しているような事態にまで追い込まれ私は孤立させられ職場が安全ではなくなり、病休に追い込まれました。

■「私の傷つけられた名誉を回復するような措置も未だ何一つ講じられていません」

このような、こういった事態、検察庁がなぜ彼女の捜査段階での行為について、充分に捜査せず、処罰・処分せず、その情報を隠して私に伝えず、私を同じ職場に復帰させ、そしてそれによって名誉棄損の被害まで受けるに至ったことについてのその理由を検事総長ら幹部に再三にわたり説明を求めてきたわけですが

「捜査はしている」と答えるだけで、未だ一切何の説明もありませんし、私の傷つけられた名誉を回復するような措置も未だ何一つ講じられていません。

ですから私は、前回の会見に至ったわけですが、それでも検察庁の自浄作用を信じて、詳細を語りませんでした。ですが、会見後も私の置かれた状況は何も変わらず、検事総長らは何の説明もしてくれない。

それによって私は不安に陥れられ、さらに病状を悪化させ、家族も苦しんでいる。私が死ねば理解してくれるのかという気持ちにまで追い込まれて、それを書面で何度も何度も訴えていますが、検察幹部からは、いまだ何の説明もありません。

ですから今現場の検事や事務官さんは、必死になって、女性副検事のあるいは被告人の捜査をしてくださっていると信じています。

今こうやって否認に転じた以上、その捜査妨害行為というのは、真相解明するのはまさに必要なことで、そこが命綱になってきます。ですから検察幹部のみなさんにおかれましては、この捜査を適正に、誠実に迅速に行ってください。

名誉毀損についても、全職員に聞き取り調査を行ってください。そして職員の皆様方においては、もし副検事から何か聞いたり、副検事が話していたような内容を聞いたりした人がいれば、自分から手を挙げて大阪高検に伝えるようにしてください。

皆さんの正義を信じています。これを隠すことは女性副検事の罪を隠す、犯人隠避になると私は思います。あなたたちを責めようと思ってるんじゃない。誹謗中傷していた他の人たちを。されたのはつらいけど。

でも私は、この事件の真相を解明したいんです。それによって、適正な処罰によって、私の尊厳と私の正義を取り戻したいんです。どうぞよろしくお願いします。

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