石破総理大臣は10日の衆議院予算委員会で「長年の核廃絶に向けた発信とその努力が報われたものだ。『おめでとう』ということなのか言い方は難しいが、私どもとして『本当にご苦労さまでした』と申し上げたい。その思いを実現するため、これから先も活動いただきたい」と述べました。
一方、核兵器禁止条約の締約国会議への参加については「われわれとして正式に参加することは極めて困難だ。『拡大抑止』を否定する考え方を、私は持っておらず、むしろその確実性や実効性をいかに高めるかに腐心している。一方、オブザーバー参加なるものでどのようにして役割を果たせるかは検討する」と述べました。
また林官房長官は10日の記者会見で「長年、核兵器の廃絶や被爆の実相に対する理解促進に取り組んできた日本被団協がノーベル平和賞を受けることは極めて意義深いことだ。長年の努力に対して心からの敬意を表したい」と述べました。
政府の核軍縮に対する立場は
政府関係者は「日本被団協は『核兵器は使用してはならない』という戦後の国際世論の形成に貢献した。政府も『核兵器廃絶』という同じ目標を目指している」としています。
また政府は、国際情勢が厳しさを増す中、核抑止力を維持・強化して、安全保障上の脅威に適切に対処していくことが大前提で、核兵器のない世界に向けては、現実的で実践的な取り組みが必要だとしています。
このため、核保有国と非保有国の双方が参加する、NPT=核拡散防止条約の体制のもとで、核兵器の不拡散と軍縮が進むよう各国に働きかけを続けていく方針です。
一方、日本被団協などは、核兵器の開発や保有、使用などを禁じる、核兵器禁止条約への参加を求めていますが、政府は「核兵器国が1か国も参加しておらず、いまだその出口に至る道筋は立っていないというのが現状だ」として慎重な姿勢です。
また、条約の締約国会議には、日本と同様に同盟国の『核の傘』によって安全が保障されているドイツなどがオブザーバーとして参加していますが、日本は参加したことがありません。
政府は、来年3月に会議が開催されることも念頭に、ドイツなどが参加した経緯などを検証する方針です。
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