日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の代表団が9日、ノーベル平和賞の授賞式に出席する。授賞式には、「高校生平和大使」も出席する。
被爆4世として受け継いだ曽祖父母の体験を胸に、次世代へ平和を語り継ぐ使命を担う姿を取材した。

広島市役所での記者会見にも同席

ノーベル平和賞の授賞式が行われる9日、現地で記者会見を開いた日本被団協の田中煕巳さんは、次の世代への強い思いをこう訴えた。

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日本被団協  田中煕巳・代表委員:
私どもがそう長くない人生の中でもですね、最大限の力を振り絞って、核兵器というのは人類と共存させてはならない兵器だということを若い人たちに伝えていきたい。

まさに、その世代の代表として今回の授賞式が行われるノルウェーの首都オスロに到着した4人の高校生。

核兵器の廃絶を訴え、活動する「高校生平和大使」だ。
メンバーの一人が、広島市の高校2年生で、17歳の甲斐なつきさん。

広島市の高校2年生・甲斐なつきさん:
私自身が広島と長崎の被爆4世ということで、曾祖父が残した“雷や地震は自然災害であるから人間が止めることはできないが、原爆は人間が落とした物で止められたはずだったのに止められなかった。それを許すことができない”という言葉。本当にここに曾祖父の強い思いであったり怒りであったり、そういうものが詰まっていると思うので、この思いを特に伝えたいと思います。

平和賞受賞が決まった10月11日、甲斐さんは、広島市役所での記者会見に同席していた。

甲斐なつきさん:
被爆地で生まれ育った人間として、核兵器が二度と使われないよう世界に訴えていきたい。

「誰もが世界をより良い場所にする力を持っています」

まだ空が暗い午前7時50分に高校生平和大使たちは、路面電車で、現地の高校へ向かった。

現地高校の校長:
よろしくお願いします。来てくれてありがとう。

4人は用意してきた資料を示して、同年代の高校生たちに核兵器廃絶のプレゼンテーションを行った。

甲斐なつきさん:
甲斐なつきです。広島から来ました。2年生です。被爆4世です。

日本で練習してきた英語でのスピーチ。訴えたのは平和への思いだ。

甲斐なつきさん:
高校生の私には、すぐに戦う力はありません。
だからといって私たちに力がない訳ではありません。年齢に関係なく、誰もが世界をより良い場所にする力を持っています。その力は、世界平和の実現に繋がる大きな力となります。

甲斐さんたちのメッセージは届いたのか。

現地の高校生:
核兵器がもたらす結果や核兵器が使用されないようにするには、私たちがどうしたらいいのかということを沢山学べました。

被爆者の平均年齢は85歳を超えている。

ノーベル委員会は授賞理由の中で「日本の新たな世代が、被爆者の経験と思いを語り継いでいる」と評した。

ノーベル平和賞の授賞式には、甲斐さんたち高校生平和大使も出席する。
(「イット!」12月10日放送より)

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