寺山地区 住民によると、25世帯38人が居住。地震の際は周辺の県道や市道で土砂崩れが起きて孤立状態になり、住民は1月8、9日に自衛隊のヘリコプターなどで救助された。長期避難世帯には6月11日に認定された。能登半島地震では長期避難世帯として現在、石川県の奥能登2市2町と津幡町の計185世帯が認定されている。
◆「4年もほっておけば家は…」会合では不満続々
「情報があまりに少なく、この先どちらを向いて進めばいいのか分からない」「市は、住民が自発的にどこか他の場所へ行くのを待っているんじゃないか」。15日、地区の住民の多くが暮らす仮設住宅「町野町第2団地」の集会室。出席した15人は次々に不満を口にした。今後の対応を話し合う寺山地区の住民=15日、いずれも石川県輪島市町野町で
市は地震以降、8月29日に町野支所で開いた住民懇談会で、避難指示解除には4年程度かかるとの見方などを示したのみ。会合では、早期に寺山地区の住民向けの説明会を催すよう市に求めることを決めた。 住民の心配は多岐にわたる。長期避難世帯になると、住宅の損壊程度にかかわらず仮設住宅に入居でき、全壊と同様、最大300万円の支援金が支給される。ただ、数年後に戻ったとしても家がどうなっているか分からず、公費解体(通常は半壊以上)の対象になるかも不明。杉木(すぎのき)健司さん(62)は「4年もほっておけばかび臭くなり、住めない。その時に再調査してもらえるのか」と話した。◆ライフラインが止まったまま「行政は動く気配ない」
もう一点、多くの住民が訴えたのが、地区へのアクセスの困難さ。県道や市道は通行止めのままで、3月から通れるようになった林道も崩落の危険があり、雨の日などは行き来を避けているという。寺山地区に通じる林道で、倒木の下を進む高野皓さんの車=3日
記者(岩本)は9月3日、地区の大区長を務める高野皓(あきら)さん(79)が乗用車で一時帰宅する際、同行した。道幅は狭く、車1台通るのがやっと。崩れそうな斜面の横や倒木の下のほか、土砂が路面に残る場所も通行せざるを得ず、慎重に進むしかなかった。 地区では、電気や水道などライフラインが止まったまま。避難指示が出ている現状では復旧作業に入れない。高野さんは「せめて、自宅の片付けがスムーズにできるよう林道の倒木や土砂をどかしてほしいと市に要望したけど、動く気配がない。われわれは見捨てられた」と嘆いた。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。