「18禁カレーチップス」を紹介する磯山商事のホームページ
◆タバスコの200倍「マニアが食べるもの」
搬送されたのは、東京都立六郷工科高(大田区)の1年生の男女計14人。生徒が持ち込んだ激辛チップスを食べた後、口や胃の痛みを訴え病院に運ばれた。全員軽症とみられる。 食べたのは、磯山商事(茨城県鉾田市)が販売する「18禁カレーチップス」。同社のホームページによると、ブートジョロキアという品種の唐辛子を使用。「辛すぎますので、18歳未満の方は食べないで」などと注意を呼びかけている。 ブートジョロキアは辛み成分のカプサイシンを含み、辛さを示す数値でタバスコの200倍程度とされることもある。この18禁ポテチを食べたことがある、辛い食べ物に詳しいグルメライターの栗田真二郎氏は「普通の唐辛子の辛さではない。辛いというより刺激物に近く、味も感じない。一部のマニアか肝試し的な人が食べるものだろう」と話す。◆「汗が出てストレス解消」魅力だが…
17日に「こちら特報部」が同社に取材すると、「これまで同様の体調不良の訴えはなかった。今のところ販売を中止する予定はない」とのことだった。 ネットやテレビでは多くの激辛料理店が紹介され、活況を呈している。約15年前から都内で唐辛子料理専門店を営む大須賀友美氏は「ここ数年、辛い物を扱う店が増えた。自分の店も若い人やユーチューバーが来るようになった」と言う。 自身の店でも「激辛チャレンジ」と称した企画がある。「辛くてもおいしい物を食べてもらうことが目的。自分に合った辛さは料理をおいしくするし、汗が出てストレス解消になる」とその魅力を語りつつ、「一部で辛さばかりが優位になっている気がする。今回のことで水を差してほしくない」と気をもむ。◆大量摂取で粘膜に穴「凶器と同じ」
実際、「激辛」を巡ってはトラブルも起きてきた。 2019年、長野市の高校で、激辛調味料を混ぜた飲み物を飲んだ生徒9人が体調不良を訴え、病院に搬送された。文化祭でジュースの入った複数のコップの一部に調味料を入れる「ロシアンルーレット」のような企画を行っていたという。 今年5月には、米マサチューセッツ州在住の少年が、カプサイシンの過剰摂取が原因とみられる心停止で死亡していたことが分かった。米紙などによると、昨年9月、当時14歳の少年は激辛トルティーヤチップスを我慢して食べるSNSの挑戦企画に参加、食べた数時間後に死亡していた。 「カプサイシンは水に溶けないため洗浄できず、体内に入ると対処のしようがない。大量に摂取した場合、消化器官の粘膜を破壊して穴を開けることもある」。薬師寺慈恵病院(岡山県)の薬師寺泰匡院長はこう解説した上で、辛すぎる食べ物に警鐘を鳴らす。「防犯スプレーにも使われる成分であり、行き過ぎた辛さは食べ物のレベルを超えて凶器と同じだ。未成年には販売できないようにするなど、一定の規制も必要ではないか」 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。