東京都庁。あるじの都知事は大統領に例えられる
◆都民の支持で国を動かすことも
これまでの都知事で象徴的なのは、石原慎太郎氏が「東京から国を変える」と主張し、1999年の就任直後から取り組んだディーゼル車の排ガス規制だ。石原氏は大気汚染が社会問題となる中、都独自の条例で基準を満たさない車の都内での走行を禁止。規制の動きは首都圏に広がり、国の法改正にもつながった。大手金融機関を対象とした銀行税は頓挫したが、税制のあり方に一石を投じた。 69年に美濃部亮吉氏が打ち出した70歳以上の医療費無料化も、都が国を動かした一例。国は当初慎重な姿勢だったが、美濃部都政への都民の高い支持を目の当たりにし、73年から無料化に踏み切った。◆大事なのは「その力でどんな東京をつくるか」
2020年以降のコロナ禍では、現職の小池百合子氏が財政力を背景に、独自の協力金を事業者に支給して休業を促すなど、感染抑止対策を展開した。 都の元副知事の一人は「都知事が『やる』と言えば、だいたいのことはできてしまう。特に世論を味方につけた時にはその力は絶大で、これまで多くの都知事が『国と対峙(たいじ)する』という構図をうまく使いながら、その力を利用してきた」と指摘する。 ただ、力の強さ故に、常に「独裁」となるリスクも。元副知事は「大事なのはその力で、どんな東京をつくるのかということ。将来のビジョンを丁寧に、分かりやすく語り、共感を得る力も必要になる」と話す。(岡本太) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。