富士山は1日、山梨県側の登山道「吉田ルート」で山開きを迎えた。同県は5合目を通過する登山者数を1日4000人までとし、通行料2000円を徴収する登山規制を始めた。県によると、初日の通過許可者は約1700人だった。
朝方までは悪天候に見舞われたが、午前9時30分ごろには訪日外国人を含めて登山客の姿が増え始めた。雨の中を5合目窓口で登山手続きを済ませて先を歩いて行った。通行料支払証となるリストバンドを付けていない人には係員が声をかけ、規制について説明した。
沖縄県から来たという女性(60)は「還暦祝いで富士山に登りたかった」と目を輝かせた。息子4人と一緒に8合目の山小屋に宿泊し、明日の登頂を目指すという。初めての富士山で日帰りで山頂を目指すというスウェーデン人の男性(30)は「2000円はとても安い」と話した。
山梨県が5合目に設置した現地連絡本部では、当初予定より1時間余り遅れて午前10時すぎに開所式が行われた。
県富士山保全・観光エコシステム推進グループの岩間勝宏推進監は「日本各地でオーバーツーリズムが問題となるなか富士山で国内初の登山規制がスタートした。トラブルが発生したときはその影響を最小限に食い止めるよう協力して対応してください」と警備員ら関係者を前に挨拶した。
県は規制開始の午前0時に5合目に設置した登山ゲートを閉鎖した。山頂でご来光を拝もうと前日に入山していた約20人の登山客グループが登頂をあきらめて1日未明に下山してくると、県の担当者は規制がスタートしているため通行料を徴収した。
登山規制では開山期間の9月10日まで、午後4時から翌午前3時までゲートを閉鎖する。1日は午前3時にゲートが開いたが、風速20メートル以上の強風が吹き荒れて入山する人はなく、午前6時台に訪日外国人計3人が県職員の「危険」との説明を受けながらゲートを通過していった。
麓から5合目までの有料道路「富士スバルライン」も強風のため午前0時から全線通行止めとなり、料金所には開通を待つ車の列ができた。日帰り登山で来たという静岡県の40代と50代の女性2人組は登山規制について「安全のためにいいこと。ただ通行料が原則キャンセルができないと無理に登る人がいるのではないか」と指摘した。
スバルラインの車列には訪日外国人の姿が多くみられた。台湾から来た男性4人組は「5合目まで行きたかったが、あきらめる」と話して午前4時ごろに引き返していった。通行止めは午前9時前に解除された。
県によると、1日の登山を事前予約したのは約1100人。スバルラインの通行止めによって入山できなかった場合は、通行料は払い戻しするという。
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