特殊詐欺の被害が後を絶たないなか、偽の警察官から偽の逮捕状を示され、700万円をだまし取られたのは、大学教授です。なぜだまされたのか、教授が取材に応じました。
■突然の電話…ビデオ通話で「警察手帳」
京都精華大学 小田隆教授(54)「明らかに狙われたんだなと思います」
先月17日、京都精華大学マンガ学部の小田教授の職場に掛かってきた1本の電話。相手は、総務省のある部局を名乗る女でした。
総務省総合通信基盤局を名乗る女「あなたの携帯電話から迷惑メールが大量に送られ、高知市で多くの被害が出ている」
突然の電話に小田教授が驚いていたところ、電話の相手は、高知県警察本部捜査2課の「田辺」と名乗る男に代わったといいます。
小田教授「警察手帳を見せるからビデオ通話にするというふうになって。ある実際に起きている、大きな詐欺事件の名前を出されて、『あなたはこの事件に関係していますか』と聞かれた」
小田教授は身に覚えがなかったため、否定しましたが…。
小田教授「『犯人があなたにお金を渡した』『あなたは今疑われています』『あなたを被疑者とみています』と言われて」
小田教授はその後、捜査を続けると言われ、定期的に連絡をするよう求められたといいます。
小田教授「監視をしたかったんだと思います。朝何時に起きたとか、昼どこにいたとか、夕飯いつとったか、出張でどっかに行っているとか、そういうのを把握したかったんじゃないか」 電子データで「守秘義務誓約書」なるものも送られ、周囲に口外しないよう求められたといいます。
さらに、捜査が行われている間は、自宅待機をするよう言われたため、大学を休んだこともありました。
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■特殊詐欺対策は「すぐに人に相談すること」■特殊詐欺対策は「すぐに人に相談すること」
そして、最初の連絡から4日後、「田辺」からこんな連絡がありました。 小田教授「高知地方検察庁のURLが送られてきて、そこをクリックしてほしいと。そこからありえないはずの、逮捕状の検索欄に入力して、その画面が出たわけですね、逮捕状」 小田教授が指示通りに名前などを入力したところ、画面に表示されたのは、自身の「逮捕状」。これを見て、激しく動揺してしまったといいます。 小田教授
「全然身に覚えが無いわけですから、どうしてかなと思いつつも、これは一刻も早く身の潔白を証明しなくてはいけないという考えにいたってしまった」
すると、「田辺」の上司だという「松本警部」なる人物が新たに登場しました。
小田教授「『詐欺でお金をあなたが受け取っているわけだから、そのお金の流れを調べるのに、お金の中身を見なければいけないから、送金が必要だ』と。絶対そんなことおかしな話。でも、その時は分からなかった」
「(Q.いくら振り込んだ?)口座からは700万円(振り込んだ)」 口座を調べる必要があるため、預金されている金額を一度送ってもらう必要があると説明されたという小田教授。言われるがままに、700万円を振り込んでしまいました。
しかし、その直後、不審な点に気がつきます。
小田教授「go.jpでないと、政府機関はドメインがとれないはず」 指示された検察庁だというホームページを確認したところ、URLのドメインが政府機関を示す「go.jp」ではなかったことが判明。偽サイトを使った詐欺であることに気がついたのです。 今回、特殊詐欺の被害の実態を知ってもらいたいと、取材に応じてくれた小田教授。自身の経験を踏まえ、こう話します。 小田教授
「すぐに人に相談すること。(周りに連絡を)生真面目にしなかった、していたら良かった。詐欺にあったことを恥ずかしいと思ったりすることも、そのこと(詐欺)を助長するだろうし。だました方が悪いわけですから」
小田教授は現在、警察に相談中で今後、被害届を提出する予定です。
(「グッド!モーニング」2024年6月22日放送分より)
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