経済的な理由で私立高を中退した生徒が2023年度中、全国に62人いたことが、私立高などの教職員組合で作る全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)の調査で分かった。前年度の約2倍に上り、学費を3カ月以上、滞納した生徒も558人いた。

◆2023年度、全国私教連調査…物価高騰が直撃

 国は、年収約590万円未満の世帯の私立高生に、39万6000円を上限に授業料相当分を支給する「高等学校等就学支援金」を設けている。東京都など、国の支援に上乗せした独自の助成をする自治体もある。

会見する全国私教連の山口直之委員長

 全国私教連の山口直之委員長は「物価高騰により、所得制限で支援金を受けられない家庭も、学費負担が重くなっている。自治体間の格差も生じている」とし、国に支援金の対象拡大などを求めていくという。  調査は、私教連加盟の教職員組合を通じて学校に調査用紙を配布して協力を要請。高校は、34都道府県の329校(生徒数27万9752人)が回答した。

◆「学費や生活費のためアルバイトする生徒がいる」

 23年度中に中退した私立高生は、東京、千葉、栃木、茨城、愛知、滋賀など17都県30校の62人。このうち東京都は10人。22年度は10都県22校の34人だった。  学費の滞納が23年度中に3カ月以上あった生徒は、108校558人いた。このうち6カ月以上の滞納は263人。  経済的理由で修学旅行に不参加だった私立高生は、22都県43校に181人いた。  生徒の様子を複数回答で聞いたところ「学費や生活費のためアルバイトする生徒がいる」と答えた私立高が89校あった。(榎本哲也) 

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