お寺の掲示板に『ありがたい言葉』が書かれているのを見たことはありますか?このお寺の掲示板、実は全国コンクールがあるんです。
「輝け!お寺の掲示板大賞」は、掲示板の写真をSNSに投稿し、標語内容のありがたさやユニークさ、インパクトなどを基準に賞を決めるものです。7回目の開催となる今年(2024年)受賞したお寺で、「はっ」とさせられる標語の製作現場を取材しました。
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『育児とは育自なり』
“「育児」とは、子育てをする中で育てる側も共に学び、親として育てあう、「育自」でもあるかと味わうことです。
我が家には3人の子どもがいます。
以前、子どもとの食事の際に、「好き嫌いをせずに食べなさい」と注意すると、「お父さんも好き嫌いしてるじゃん!自分が出来んことを言わんでくれん!?」と言い返されたことがありました。
私には、「育児」の前に「育自」が必要なようです。”
( 『西照寺 伝導掲示板④』から 一部抜粋)
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この言葉を書いたのは、熊本県菊池市にある創建約400年の西照寺・14代目の高千穂翔(たかちほ しょう)住職(39)です。今年7月に掲示したところ、「輝け!お寺の掲示板大賞」で上から2番目の「仏教伝道協会賞」に入賞しました。
西照寺 高千穂翔住職(39)「実感がないというのが率直な感想。認めてもらえるというのはありがたいと思います」
着想は「映画」や「子どもの漫画」からも
西照寺の掲示板は、高千穂さんの父親でもある先代の住職が1990年に始めたもので、7年ほど前に寺を継いでからは高千穂さんが書いています。
高千穂住職「映画を見たり子どもたちが読んでいる漫画を読だりして『この言葉いいな、仏教の教えに通ずるんじゃないかな』と思って書くこともあります」
月に1度書き換えているという掲示板。この日は12月分をしたためました。
高千穂住職「緊張しますね、人に見られると」
“お釈迦様は欲望のままに快楽に身を任せた生活を厳しく誡(いまし)められています。
楽して生きること=楽しく生きることではありません。
生きている以上、誰しも楽なことばかりではなく、時にはきつく辛いこともあるでしょう。しかし、そんな時だからこそ、その時その時の経験や出遇(あ)いに感謝し、一人一人が楽しく生き抜く道を見出していくことが、それを乗り越えることに繋がるのではないでしょうか。”
(「浄土真宗本願寺派 光雲山 西照寺」HPから一部抜粋)
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高千穂住職「仏教の教えに出会って欲しいという思いで、その入り口になるかなと。また、見た方の心に何か少しでも残ればいいなと」
掲示板がつなぐ“縁”
高千穂住職の思いは、地域の人たちにしっかりと届いているようです。
近くに住む人たち「気付かされることが多い。いつも気にかけて見るようになっていますね」
「毎月(掲示板が)楽しみで、今度はなにかな?と。考えさせられるというか、すごい言葉が書いてあるなと思います」
高千穂さんはこの掲示板がきっかけになる「縁」を大切にしていきたいと話します。
高千穂住職「いろいろな人たちにこの掲示板の言葉を通して、お寺を身近に感じてもらったり仏教の教えに触れていただいたり、そんなご縁になればと思います」
『余生ではなく与生』
『「酔ってた」と自覚したのは醒めたとき』
『「あいにくの雨」「めぐみの雨」 こちらの都合で変わります』
『今日が大事』
地域の人たちや檀家にも好評ということで、年度ごとに解説付きで冊子にまとめて配布しているほか、最新の掲示板は寺のホームページでも見ることができます。
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