20年以上にわたる悲願が叶い、2024年7月27日に世界文化遺産となった『佐渡島の金山』(新潟県佐渡市)。
直前まで行われた日韓の水面下での調整や、その後に見えてきた課題を探ります。
回顧2024『佐渡島の金山』
1月。
仕事始めを迎えた佐渡市役所では、渡辺竜五市長が「世界中から注目を浴びる年になる」と、力強い言葉で年始の挨拶を行いました。
「この世界遺産というのは非常に大きなチャンス…」
20年以上に及んだ世界遺産登録にむけた活動の末、『佐渡島の金山』については「今年の夏にも登録の可否が決まる」と言われていたのです。
そんな期待に沸く中で、不穏な動きもありました。
世界遺産委員会の委員国でもある韓国の動向です。
【尹德敏(ユン・ドクミン)駐日特命全権大使・4月当時】
「立派なところもあるんですけれども、マイナスの歴史もあるわけですから『全体の歴史』をなんとか表示できるような形でやる必要があるんじゃないかと…」
佐渡金山では戦時中に朝鮮半島出身者の“強制労働”があったと韓国は主張し、『全体の歴史』を表示することを求めました。
そして6月。
【地元の人】
「期待していた以上にがっくりきている。今年こそは、って…」
ユネスコの諮問機関・イコモスは『佐渡島の金山』の評価について、「情報照会」の勧告を出しました。追加情報の提出を求める内容です。
世界遺産委員会での世界遺産リストへの登録には全会一致が原則とされています。
日本と韓国は、水面下で綿密に調整を進めました。
そして運命の7月…。
「嬉しいだけです。この日を待っていた。この時を待っていた!!」
【新潟県 花角英世知事】
「これがゴールではありません。これから佐渡金山をしっかり保存するとともに、佐渡や新潟のすばらしい魅力を味わっていただいて、理解していただいて、そして地域の活性化につなげていきたい」
世界遺産登録で、『佐渡島の金山』周辺には多くの観光客の姿が見られました。
「史跡 佐渡金山」に繋がる道路は渋滞、入場券売場には長い列ができました。
佐渡市によりますと、2024年8月の観光客の数はおよそ9万1400人で、2023年と比べ8.4%増加。9月は21.5%増のおよそ5万3800人。
【ホテル万長 橋本佳行営業課長】
「世界遺産が決まった7月27日以降に入った予約の紙…」
「ファックスから次々と出てきて、紙が無くなった」
【アイランドレンタカー 後藤美佳子店長】
「レンタカーの台数も限りがあって、“足りない”のが現状」
「少ない人材で回しているので…」
『佐渡島の金山』の世界遺産への登録で、島内の観光には二次交通や宿泊施設が追いついてない現状も見えてきました。
また、冬期は観光客が少なくなる傾向にあり、“通年観光”にも課題があります。
登録直後に佐渡を訪れたのは観光客だけではありませんでした。
相川郷土博物館には、今回の世界遺産への登録に合わせて新たに展示の始まった朝鮮半島出身者の労働環境や生活ぶりを説明する資料もあります。
8月には韓国の国会議員団が佐渡を訪れ、朝鮮半島出身者の慰霊と強制労働に関する展示を視察。議員団は、「全ての労働者の辛い環境をちゃんと表記して、その中でも朝鮮人労働者は“強制動員”されたと、はっきりしてほしい」とし、改めて「強制労働」という言葉の掲示と資料展示場所の変更を強く求めました。
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