スパイスの王様と言われる胡椒(コショウ)。現在国内で流通しているほとんどは海外から輸入されたものです。あまり事例がないという国産コショウの栽培が、沖縄で始まっています。

本島北部、名護市で24日に開催されたスパイスに親しむイベント「スパイスサーカス」。北部ではスパイスの栽培が比較的盛んで、現在20種類のスパイスが栽培されています。

ここに加わろうとしているのが胡椒です。国内では珍しい胡椒の栽培施設が公開され、大手スパイスメーカーの職員なども見学会に参加しました。

レクチャーするのは芳野幸雄さん。15年前から胡椒栽培に取り組んできました。

芳野幸雄さん(右)

▽農業生産法人クックソニア 芳野幸雄代表
「これがいわゆるグリーンペッパー。ブラックペッパーになる手前です。風通しの良いところに置いていけば、2~3週間でブラックペッパーになります」

苗の植え付けから実をつけるまで約3年。収穫したばかりの胡椒の香りを嗅いでみても、香りはしません。まだ青いグリーンペッパーに香りはほとんどなく、乾燥させることで風味が引き立ちます。

▽農業生産法人クックソニア 芳野幸雄代表
「はじめのうちは苗を作っても半分以上枯れてしまったり。結構たくさん失敗しました」

収穫したばかりの「グリーンペッパー」


高温多湿の熱帯地域が原産で、国産の胡椒はほとんどないなか、沖縄の亜熱帯気候に着目し、試行錯誤を繰り返してきた芳野さん。

今では約180株を育てるまでになりました。3年後には年間60キロの収穫を見込んでいて、胡椒栽培を県内で広げていきたいと考えています。


「農業として胡椒栽培で生計を立てるまでの域には、誰もまだ達していないと思います。いくらでも仲間はウェルカムで、みんなで胡椒を植えてもらうといいかなと」

見学会に参加した人たちに、長年かけて培ったノウハウを惜しみなく伝えた芳野さん。徐々に仲間を増やしています。栽培が広がることで、まだ把握していない課題を見つけて解決するなど、安定生産につなげたり、品質向上に期待しているのです。

「仲間はウェルカム」と語る芳野さん



▽飲食業
「スパイスの栽培って大変だと思うんですよ。胡椒は僕も何度かチャレンジしたことがあるんですけど、なかなかうまく育たなかった。生産者の方がいろんな工夫して育てた素材があるなら、僕たち料理人も生産者と組んで、どう料理に活用していくか、一緒に取り組んでいきたい」

▽農家
「胡椒栽培、以前はあまりうまくいかなかった。改めてもう1回しっかりやりたいなと思っています」

▽農業生産法人クックソニア 芳野幸雄代表
「やんばる中の1軒に1本、胡椒の木が植えられているような未来を僕は想像しています。名護が “スパイスのまち” となって『スパイスのまち宣言』なんてことができると面白いことが起こるのではないかと、今から想像してます」

まちの人々を巻き込みながらの、国産コショウ栽培の挑戦。今後の動きに注目です。

<MEMO>
芳野さんは今後も胡椒ハウスの見学会のほか、料理の提供などを企画していくということです。「cookhal」のSNSからご覧ください。(取材 黒島ゆりえ)

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