日本初の女性裁判所長となり、放送中の朝ドラのモデル・三淵嘉子(みぶち・よしこ)さん。51年前、新潟家庭裁判所長に就任した際に取材した7分のインタビューがBSNに残っています。ドラマそのものの人柄だったようです。

Q「―所長、新潟は初めてでしょうか?」
【三淵嘉子さん】はい、初めてでございます」

BSNのカメラの前で話す、三淵嘉子さん。
現在放送中の朝ドラ『虎に翼』の主人公のモデルです。

日本初の女性裁判所長として、今とほぼ同じ場所にあった新潟家庭裁判所に就任してから一か月後の取材でした。

【三淵嘉子さん】
「私はじめ新潟へ行けって言われたときに、新潟県人っていうんですか、新潟の人たちっていうものに対しては、小さいときから非常にもう誠実な信頼できる人たちなんだって頭の中に入ってましたからね。そういう意味でとても嬉しかったです」

当時のインタビュアーをしていた、元BSN記者の大澤道義さんは当時をこう振り返ります。

女性の社会進出がまだ進んでいなかった時代でした。「女性初」という言葉について三淵嘉子さんは淡々と話しています。

「自分が所長になりましてもね、別に初めてってのは今までそれだけ女の婦人の裁判官の歴史が短いというだけで、女性だからということに特別、私自身は何もこだわりを感じてません」

新潟市東区に住む石井葉子さん(78歳)は、三淵さんが新潟家庭裁判所の就任した当時、家庭裁判所調査官として三淵さんに仕えました。

「おっしゃり方は優しく穏やかなんですけど、内容は彼女は信念をもって少年事件にあたっていたので、『もっと一所懸命やらなければいけない』といつも言われていました」

部下に対して、分け隔てなく接していたという三淵さん。
そんな三淵さんの人柄を表すこんなエピソードも…。

「所長室にいらっしゃいと声をかけてくださるんですよ。所長室に呼ばれると何事かと思っていくと、机の中から『ちょっとこれ、おいしいお菓子が手に入ったから』って言ってチョコレートだのクッキーだの出してくださったりね。『こんな生地をいただいたんだけど、洋服をどこで仕立てたらいいですか』みたいな、まさに女子のトークを所長室でしていた」

インタビューで三淵嘉子さんが語ったこと

「何て言いますか、家庭裁判所っていうのはどうしても民衆に親しまれる裁判所でなきゃいけないと。社会の一般の方から本当に自分たちの日常の生活に関係のある事柄について相談に乗ってもらえるところだというふうな裁判所に、これからしていきたいというふうに思うわけです。やっぱり家庭を含めて社会全体がやっぱり子どもの問題を本当に真剣に考えて、日本の将来を担うその少年たちのために、その社会がどういう姿勢をとらなきゃいけないかっていうことを一本になって考えなきゃいけないと思うんですよ」

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