科学雑誌「サイエンス」は毎年、科学の分野で、その年の重要な成果や出来事を選んで発表しています。
ことしは、その1つに、高知大学などの国際研究チームが行った、藻の仲間についての研究を選びました。
研究チームは、海に生息する20マイクロメートルほどの非常に小さな藻の仲間を詳しく調べ、窒素を直接、取り込む能力を獲得しつつあることを発見しました。
窒素は、地球の大気の主な成分ですが、これまで、窒素を直接取り込んで利用できるのは、一部のバクテリアなどでしか知られておらず、生物の進化を考えるうえで新たな展開をもたらしたと評価しています。
「サイエンス」は、このほかのことしの重要な出来事として、アメリカのスペースXが開発する大型宇宙船「スターシップ」の試験飛行で、発射台に付いた2本のアームで、再利用を目指すロケットを回収したことなどをあげています。
もっとも重要な成果の「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー」には、HIV=ヒト免疫不全ウイルスへの感染予防に高い効果を示した薬「レナカパビル」が選ばれ、この薬は、何百万人もの人たちを感染から守る可能性を秘めているとしています。
研究チームのメンバー“諦めず続けることが大事”
アメリカの科学雑誌「サイエンス」が選んだ、ことしの科学分野の重要な成果の1つに、高知大学などの国際研究チームが行った研究が選ばれたことについて、研究チームのメンバーで、高知大学特任講師の萩野恭子さんは「これほど反響を呼ぶとは、正直思っていなかったので驚いています。個人的に始めた研究が、最終的に科学の進歩に役立ったことが、とてもうれしいです」と喜びを語りました。
今回の研究成果にいたるまで10年以上、藻の培養の失敗が続いたということですが、高知大学の別の研究者からアドバイスを受けて、培養手法を確立したことが研究の突破口になりました。
萩野さんは「諦めないで研究を続けたことで、さまざまな出会いがあり困難を突破できたので、続けることが大事だと感じています。これからも研究を続けて、窒素を直接利用する能力について詳しく調べていきたい」と話していました。
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