最先端半導体の量産を目指すラピダスの小池淳義社長(右)

最先端半導体の量産を目指すラピダスと米IBMは、回路線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体を性能通りに動かすための中核技術を共同開発した。半導体の中を流れる電流の電圧を細かく制御する。ラピダスが2025年4月に製造を始める試作品に今回の技術を取り入れる。

米サンフランシスコで開催されている「国際電子デバイス会議(IEDM)」で論文が採択され、9日に2社が研究成果を発表した。ラピダスとIBMが2ナノ品の研究成果を対外的に公表するのは初めて。IBMは「(2ナノチップの)厳しい技術要件を満たすことができた」とコメントした。

2ナノ品のトランジスタ(半導体素子)はGAA(ゲート・オール・アラウンド)と呼ばれる複雑な構造を使っている。微細な回路から電気が漏れないように特定の層に絶縁膜をつくることに成功した。電圧を細かく制御でき、従来より少ない電力で複雑な計算処理がこなせるようになった。

ラピダスは25年から北海道千歳市の工場で試作を開始し、27年に2ナノ品の量産を目指す。米国にある研究拠点でIBMと2ナノ品の設計技術を共同開発している。開発を担ったラピダスの富田一行氏は「ラピダスの北海道工場に同技術を導入し、先端品の製造につなげる」とコメントした。

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