米IBMは9日、データセンターのサーバーの間の通信を光で行うことで、人工知能(AI)の学習を高速化する技術を開発したと発表した。電気を使った従来の通信手法に比べ、大規模言語モデル(LLM)の学習時間を最大で5倍速められる。
光学部品と半導体チップを同じ基板上に組み込み、電子の代わりに光を使ってデータをやりとりする「コ・パッケージド・オプティクス(CPO)」と呼ばれる分野で新技術を開発した。
データセンターのサーバー間の通信に新技術を活用すると、従来3カ月かかっていた標準的なLLMの学習期間を3週間に短縮できるようになるという。1つのAIモデルを学習するのにアメリカの5000世帯の年間消費電力を節約することにつながる。
光の通信技術はこれまで、データセンターと外部とのやりとりなど、長距離を結ぶのに使われてきた。通信に必要な光ファイバーやコネクターは小型化が難しく、データセンターのラック間など近距離の通信には電気が使われていた。IBMは独自技術を用い、このほど光で代替することに成功した。
生成AIが普及する一方で、処理能力の向上や消費電力の低減が課題となっている。IBMシニア・バイス・プレジデントのダリオ・ギル氏は「今後は半導体チップ間を光通信技術でつなぐことが可能になる。将来のAI処理の増大にも対応できるようになる」とコメントした。
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