福島県沖の海面水温が約50年で約2度も上昇したことが、県水産海洋研究センターの調査でわかった。水深100メートルでは長期的な上昇は見られなかったが、昨秋は海面とともに平年より2~4度高かった。担当者は「魚は水温に敏感で、種類ごとの適した水温がある。漁業への影響が心配される」としている。

 センターは漁業調査指導船いわき丸で、ほぼ毎月、相馬市、富岡町、いわき市それぞれから沖へ延ばした線上の、各50カイリ(約93キロ)以内の7カ所ずつで海水温を定点観測している。1970年1月~2023年9月の年ごとの平均の水温をもとに計算すると、50年間で2・09度上昇していた。22年以降では、海面、水深100メートルとも過去30年の平均より7度高い月もあった。

 近年では、蛇行する黒潮の北端部が宮城県や岩手県沖まで北上したまま居座(いすわ)り、暖水が流れ込んでいるのが原因。もともと福島県沖が北からの冷たい親潮と、南からの温かい黒潮の境界線で、寒暖両方の潮にすむ魚がとれたが、親潮が北方へ追いやられている。

 その結果、県沖では冷たい海水を好むサンマやサケの漁場が形成されなくなり、これまで見かけなかった南方のトラフグやタチウオなどがとれるようになった。センターは地球温暖化の影響もあるとみて研究を進める。

 この影響でサンマ漁船は近年、主に北海道東方沖で操業している。サンマ漁船を所有する加澤喜一郎さん(64)は「魚影が薄くなって漁場がどんどん遠くなっており、そのぶん燃料代もかかる。地球規模の問題だから心配だ」と話した。

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