2015年、長野県佐久市で中学3年の男子生徒が車にはねられ死亡した事故。ひき逃げの罪に問われている男性について、最高裁は、2025年2月7日に判決を言い渡すことを決めました。
2015年3月、佐久市で、当時中学3年生の和田樹生さんが車にはねられ死亡しました。運転していた男性(52)は過失運転致死の罪に問われ執行猶予付きの有罪判決が確定しました。
しかし、和田さんの両親は納得がいきませんでした。運転していた男性は事故直後、近くのコンビニ店に行って飲酒運転を隠すために口臭防止剤を買って服用。その後1分余りで現場に戻って和田さんを救護したことがわかったのです。
両親は、独自で事故を調査し、検察に「ひき逃げ」での捜査を求め2022年1月、検察は「ひき逃げ」の罪で男性を在宅起訴しました。
最大の争点は、事故後の男性の行動が道交法に定められた「救護義務の違反にあたるかどうか」。
一審の長野地裁は、「ひき逃げ」にあたると認定。懲役6カ月の実刑判決を言い渡しました。
しかし、二審の東京高裁は、「直ちに救護措置を講じなかったと評価することはできない」として、一審判決を破棄し、「逆転無罪」を言い渡しました。
判決の後、両親は―
母・真理さん(2023年9月):
「被害者の生命や身体の保護を全く無視した判決。最低の判決。樹生にかける言葉が見つからない。こんな国に産んでごめんねとしか言えない」
判決を不服として東京高検が上告。これを受けて最高裁が双方の主張を聞く「弁論」を開きました。
検察側は、「道交法の解釈・適用を誤っていて、被告の行動を過小評価している」と主張。
一方、弁護側は、「救護義務違反の罪は成立しない」とする二審判決を支持した上で、すでに確定している過失運転致死と「別々に処罰する理由はない」と一事不再理の原則を主張しました。
弁論を傍聴した両親は―
母・真理さん:
「直ちに救護されれば救われる命はあると思う。高裁判決を破棄して、最高裁で判決を出してほしい。できれば反省のない被告人に対しては実刑判決をお願いしたい」
父・善光さん:
「弁論が開催されたということは一つの光が差しているが、ただ開催されただけで判決がくだされたわけではない。望みをもって検察もしっかり対応してもらい、私たちも今後の裁判に臨んでいく」
最高裁での「弁論」は、判決を見直すのに必要な手続きです。実は、極まれなケースで二審の判決が見直される可能性が出ています。
2023年1年間の最高裁の終局処分人員は1591人で、このうち二審判決が破棄されたのはたったの3人です。
最高裁は12月24日までに、判決を2025年2月7日に言い渡すことを決めました。
和田さんの母・真理さんは、「救護義務違反が認められ、一審の懲役刑が確定することを望んでいます」とコメントしています。
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