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 三重県の子育て支援施設で、クリスマスパーティーが催された。2歳や3歳の子どもたちはサンタクロースが何かすら理解できていないが、親たちは早くも「プレゼントはいつまであげるものか」「上の子は信じたい・信じたくないというのが半々」といった話題で盛り上がっていた。

【映像】サンタの存在を疑うようになった年齢(グラフ)

 「サンタが子どもの心理に与える影響」を30年間にわたり研究してきた三重大学の富田昌平教授は、「9、10歳あたりが一番サンタに懐疑的になる」と説明する。時代が変わっても、サンタを疑う年齢に大差はなく、最新の調査でも10歳前後で疑い始める子どもが最も多いという。

 そのタイミングに合わせて“真実”を告げる親が最も多いというが、スマートフォンやタブレットの普及で、「疑い始める年齢は6歳あたりまで下がってくる可能性がある」とも指摘する。そこで『ABEMA Prime』では、いつ、どうやって子どもに伝えるべきかを考えた。

■サンタの“真実”を伝えた家庭

 多くの親がタイミングに悩む一方で、「最初からサンタはいない」と伝える人もいる。千葉県在住の伊藤さん(仮名、男性)。クリスマスパーティーでは、祖父と祖母から長女(中1)と長男(小4)にプレゼントが手渡される。伊藤さんからのプレゼントは「12月10日くらいに。『サンタはいない』と伝えてあるので、かなり早めに渡している」という。

 自身が“真実”を知ったのは「小1ぐらいだった」そうだ。「ゲームを取り上げられ、親の部屋を探していたら見つけてしまった。それまで信じていたので、すごくショックだった。そういう思いをさせるくらいなら、最初から言っておいたほうがいい」と考えを説明。根本には「何でもうそはダメだ」との思いがある。

 さらに伊藤さんは「多数派(サンタいる派)に流されるのが嫌」「『プレゼントのために良い子で…』は偏ったしつけ教育で、親のエゴ。子どもの自主性を狭めてしまう気がする」などの理由を挙げる。一方で、クリスマス自体は「頑張る子どもへ親からプレゼントを贈るイベント」として賛成の立場だ。

 また、家庭の大きな変化も影響した。「1年前に離婚して、シングルファーザーになった。それまでは妻の尻に敷かれていて、『サンタはいる』という子育てに何も言えなかった。離婚して自分が面倒を見るようになったことを機に、カミングアウトした」。

 なお、子どもの反応について、当時小6だった娘は「薄々知っていたので、特に何も思わなかった」、小3だった息子は「少し寂しく感じた」と話したということだ。

■コメンテーター陣の「サンタの“追跡サイト”見てた」「手紙書いた」

 千原兄弟・千原せいじは、僧侶でもある立場から「うそも方便」という言葉の意味を説く。「自分が得するために偽るのは“うそ”だが、子どもや周りを楽しませるのは“方便”。方便はいい。無理に『存在する』と思わせたいのではなく、サンタの存在を聞かれたら『おらへん』と言う」。

 作家でジャーナリストの佐々木俊尚氏は、「うちは貧しい家庭で、クリスマスパーティーをしたことも、プレゼントをもらったこともない。サンタが実在するかなんて考えたこともなかった」としつつ、図書館でファンタジー小説を読んでいた経験から「子どもの心の中では、空想と現実は入り混じって存在している。そこから大人になって、知性がついて切り分けられるようになる。その手前で、大人が“これは嘘だ”などと議論するのは間違いで、子どもの中にある“自分だけの物語の空間”を支えてあげるほうが大事だ」との考えを述べる。

 タレントの山崎怜奈は、父親に教わったサンタの“追跡サイト”を見ていたといい、「いつまでたっても日本上空を通らないなと。そのうち1人じゃ回りきれないと思い始めて、疎遠になっていった」と明かす。また、親とのやりとりとして、「イエス・ノーの答えが返ってきた試しはなく、何事も理由を聞かれた。自分で考える発想力と好奇心の芽をつぶさず、むしろ育てることが必要。その訓練として、サンタはいい題材だと思った」との見方を示した。

 リディラバ代表の安部敏樹氏は「サンタに手紙を書いた」エピソードを語る。「カニを置いて『食べてね』と書いたら、朝、『Thank you.』と書いてあった。『うちの親は英語できないしな』と、やっぱりサンタはいるんだと思った。そういう盛大な勘違いが大事な気がする」。

■子どもはサンタをどう認識?“教育”の仕方は?

 富田教授は高1(16歳)、中2(14歳)の2児の父だが、まだ真実は伝えていないという。サンタの認識は、年齢によって変化すると説明。4歳ごろからの実在肯定期で「本当にいる」と感じるようになり、その後の心理的肯定期で「心の中にいる」、「信じれば来る」という信念重視期を経て、「いい子にしていれば来る」の態度重視期へと移り変わるという。

 富田教授は、研究でサンタに扮してプレゼントを配った経験があるそうだ。その時、4歳の子どもが「お母さんに怒られた事があるのにプレゼントくれるの? これからはもっと頑張る!」と反応したことから、サンタは「前向きな成長を促す」スーパーポジティブな存在だと指摘する。

 しかし、ネットの普及による若年化には懸念を示している。「これまでは子どもが出会う証拠には、曖昧さが残っていた。しかしネット上で強力な証拠に早く出会ってしまうと、信じる年齢も幼くなるのでは。真実に気づいて、親を追及した時に、どんな言葉を返すかが重要だ。『今度から来なくなるからね』とあっさり言われると、絶望的な気分になる」。

 その上で、子どもから「サンタは存在する?」と聞かれた際の伝え方として、「サンタが本当にいるのかいないのかは誰にもわからない。○○ちゃんがいると思ったらいるし、いないと思ったらいない。でもいると思った方が楽しいよね」といった例を推奨する。「子どもたちが自分自身で考え、『いない』とも『どこかにいるのでは』とも感じる、曖昧さを受け入れることが大事だ。白黒付けようとしなくていいのでは」とした。(『ABEMA Prime』より)

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