シリーズでお伝えしている年末回顧。2回目は社会部から。2024年は身近な安全が脅かされる1年となりました。

原型をとどめないほど大破した軽乗用車。2月、瀬戸内市の県道、岡山ブルーラインで、軽乗用車がセンターラインをはみ出し大型トラックと正面衝突しました。軽乗用車の男性2人が死亡しました。岡山ブルーラインでは、その2ヵ月後にも車がセンターラインをはみ出したことによる死亡事故が発生しています。

(奥原怜奈記者)
「現場周辺です。かなり緩やかにカーブした場所で、対向車との距離が近く、交通量も多い場所となっています」

岡山市と県の東部を結び交通量の多いこの道路。片側1車線の対面通行であることに加え、信号が少ないのが特徴で、警察は、漫然運転が重大事故につながるとして、警戒を強化しました。

(森岡紗衣記者)
「事故から一夜明けた現在、警察の実況見分が行われています」

まちの中心部でも安全が脅かされました。JR岡山駅前のマンションの建設現場で足場などが崩れ、男性作業員1人が死亡、5人がケガをしました。現場は、安全を見直し工事が再開しています。

(中村香月記者)
「午前10時過ぎです。警察官らが労災事故があった現場に立ち入り検査に入っていきます」

労災事故は高松市の造船会社でも。作業場が崩れて男性作業員3人が18メートルの高さから落下して死亡しました。作業場をつないでいた金属製の部品が折れていたということで、警察や労働基準監督署が原因を調べています。

(奥原怜奈記者)
「船が乗り上げた海域周辺です。徐々に船は沈んでいき、こちらからは船首しか確認することができません」

安全を指導する側も重大事故を起こしました。水産庁の漁業取締船が、笠岡市沖で座礁して沈没。当時の船長と船の操縦を指揮していた二等航海士が、業務上過失往来危険の疑いで書類送検されました。船長は、「二等航海士は浅瀬を把握したうえで航行していると思った」、二等航海士は、「目視に頼り、海図を確認していなかった」と供述しています。

安全への脅威はすぐ隣にも潜んでいます。

高松市中心部の住宅街にあるアパートで、ビニール袋などに入った3人の赤ちゃんの遺体が見つかりました。赤ちゃんに対する殺人などの罪で起訴された元風俗店従業員の女は、「生活苦から育てられないと考えた」と供述しています。

倉敷市の住宅街では、夜中に突然、爆発音が響き渡りました。住宅に投げ込まれた手りゅう弾が爆発したもので、暴力団同士の対立が背景にありました。

爆発物取締罰則違反などの罪に問われたのは、六代目山口組傘下の暴力団組員の男。岡山地方裁判所は、「反社会的な考えを反映した極めて危険なもの」などとして、懲役12年の実刑判決を言い渡しました。家族内で脅かされた安全に対して厳しい判断も下りました。

坂出市で2022年、劇物の酢酸鉛を粉ミルクに混ぜ親族の赤ちゃんに飲ませたとして傷害の罪に問われた女に、高松地方裁判所は懲役3年の実刑判決を言い渡しました。「異変を訴えられない赤ちゃんを標的とした強い犯意に基づく犯行」と指摘しました。

岡山市で2022年、娘を交際相手とともに虐待して死亡させたとして、逮捕監禁致死などの罪に問われた母親に、岡山地裁は懲役10年の実刑判決を言い渡しました。交際相手と共謀関係にあったかが争点となりましたが、「母親が娘の素行を交際相手に報告し、交際相手がそれに応じて虐待を行っていた」などと指摘し、共謀が成立するとしました。

身近な安全が脅かされた1年。再び悲劇を生み出さないため、社会全体で何ができるか考える必要があります。

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