講演会は、全国の医療機関でつくる団体がオンラインで開き、広島で長年、被爆者医療に取り組んできた齋藤紀医師が1958年に海上保安庁の船が太平洋上でアメリカの水爆実験に遭遇して被ばくした事件について講演しました。

事件の翌年、乗組員の1人が急性骨髄性白血病で死亡したことについて、国は当時、被ばくの線量は微量で直接関連づけることは困難だとしましたが、NHKが齋藤医師とともに被ばく直後に派遣されたアメリカの軍医の報告書を分析したところ、乗組員の一部に重度の白血球の減少が起きるなど体に深刻な異常が起きていると指摘していたことが分かっています。

21日の講演で齋藤医師は報告書について、乗組員の一部で頭痛やけん怠感、口と唇の乾燥といった異常が出ていたことも記載されていたとしたうえで、「診断の所見と微量とされた被ばく量の関係について矛盾とか、理屈に合わないと表現し、悩みながら書かれている」と述べました。

そして「第四の被ばくとも言えるこの事件は、低い線量の被ばくが急性骨髄性白血病の発症につながるのかという点で重要な問題を提起している」と指摘しました。

講演のあと齋藤医師は事件について、「当時、医学的に十分に解明できないまま国が結論づけていたことが見えてきたので、今、事実を明らかにするため国も尽力してほしい」と話しました。

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