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 「政治とカネ」の問題をめぐり、政策活動費の全面廃止などを盛り込んだ政治資金規正法の改正案などが、与野党の賛成多数で衆院通過した。その一方で、企業・団体献金については、来年3月末までに結論を得ることになった。

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 「禁止ではなく公開」との立場を取る石破茂総理は、企業・団体献金は表現の自由を保障する憲法21条に基づくと主張するが、過去には与野党が禁止の方向で動いていた。リクルート事件や東京佐川急便事件を背景に、1994年の細川政権では、当時野党だった自民党との間で、「企業などの団体の寄付は五年間に限り、年間五十万円を限度に認める」と、廃止の年限まで定めた合意書が交わされていた。

 30年前の合意は何だったのか。そもそも企業・団体献金とはどのようなものなのか。『ABEMA Prime』では、与野党双方の議員から考えを聞いた。

■過去には「合意書」も なぜ企業・団体献金はなくならない?

 今回の与野党協議では、「使途公開の義務がない『政策活動費』廃止(非公開の例外項目を設ける案も削除)」「政治資金監視の『第三者機関』設置法案に賛成」「企業・団体からの政治献金廃止は、来年3月末までに結論を出す」と、大きく3つの事項が合意された。

 どうして企業・団体献金は問題視されているのか。立憲民主党の青柳陽一郎衆院議員は、「自民党に献金が集まるのは、出す側にメリットがあるからだ」と指摘する。「ここ数年でもIR誘致のために、違法な支出をしていた。リクルート事件でも、『絶対に上がる』という未公開株を自民党議員に渡して便宜を図った。政策がねじ曲がらないように細川政権で禁止を合意したが、ようやく議論が本格化してきた」。

 自民党の片山さつき参院議員は、30年前の合意は個人献金の増加を見込んでいたものだとして、「あくまで5年後の見直しを検討する条文で、状況が変化していないから、そのままになっている」との見解を示す。「当時からの国会議員は、いまや非常に少ないが、その時に議員だった石破総理は『廃止という認識ではない』と言っている」。

 元兵庫県明石市長の泉房穂氏は、「企業・団体献金の廃止を前提として、政党助成金制度を作った。フランスは同様の議論で、助成金を作った代わりに、企業・団体献金を廃止した」と30年前の論調を振り返る。青柳氏は「泉氏と同じ認識で、『国民が支出する代わりに、企業・団体献金はやめよう』という方針だと考えている」と賛同する。

 一方で小林史明環境副大臣(自民党衆院議員)は、「『個人は良くて、企業はダメ』という理屈の整理が難しい」と語る。「高収入の医師や、投資家、起業家などは多額の寄付ができるが、企業は全部ダメだとなると、特定の人物が強い力を持つようになる」。

■国民が納得する方法とは 透明化だけで足りる?

 「政治とカネ」による不信感を背景に、泉氏は「『政治にはお金がかかる』という国民の納得感が得られていない」と感じている。納得してもらうための対策として、使途の透明化が考えられる。小林氏は「使途を公開できない会食は自腹でやればいい。政治団体からの支出は公開して、自分の所得から出したものは公開しないでいいのではないか」と提案する。

 片山氏も「フランスのように、パーティーは事業収入にして、支出は経費で落とすのはどうか。企業会計に慣れている日本社会では、その方が理解を得られるかもしれない」とアイデアを出す。

 国会議員には、給与とは別に、月100万円の旧文通費(現在の調査研究広報滞在費)が支給されているが、与野党はこの使途を1年ごとに公開することに決めた。しかし青柳氏によると、「公開の仕方」に課題があるようだ。

 旧文通費の使途は、政治資金収支報告書と同様に、総務省や各都道府県の選挙管理委員会に提出する。「提出した時点で公文書になり、公開請求があると、個人情報保護法や情報公開法に基づく黒塗りを施して、公開しなければいけない。領収書を全部添付し、使った店名までは出せても、『誰との会食か』は黒塗りになる」。

 それでもなお、「情報公開で一定は適正化されていく」と期待を寄せる。「今国会では企業・団体献金の廃止を合意できなかったが、次の国会までには結論を得る。その結論は透明化して、国民の目で適正化することが最低限必要だ」。

 片山氏も「透明化は賛成」だという。「総務省と各都道府県の選挙管理委員会に加えて、国会に第三者機関が設置されると決まった。黒塗りであっても、第三者機関の信頼できる人物は見られる。そこで適正かどうか判断するようになるのが、今までと大きく違う点だ」。 (『ABEMA Prime』より)

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