2022年に西九州新幹線が開業したことで、九州で新幹線が通っていないのは宮崎と大分のみとなった。こうした中、宮崎県内でも新幹線に関する議論が熱を帯び始めている。県は12月県議会で、東九州新幹線の整備費用などの調査結果を公表した。
県は今回、3つのルートを調査した。北九州から鹿児島中央までを海岸沿いに結ぶ「日豊本線ルート」。その一部である宮崎から鹿児島中央までの「鹿児島中央先行ルート」。宮崎から新八代までを結ぶ「新八代ルート」の3つだ。
宮崎~博多は最短で1時間24分
この記事の画像(8枚)まずは所要時間を見てみる。宮崎市から福岡市に行くときにかかる時間について。「日豊本線ルート」は1時間38分。「鹿児島中央先行ルート」は一度鹿児島まで行き、そこから九州新幹線に乗り換えて2時間12分。「新八代ルート」は1時間24分に短縮される見込みだ。
現在、宮崎市から福岡市まで陸路で行く場合は高速バスと新幹線を使って3時間以上かかるため、新幹線が開通すれば大幅な短縮となる。
整備費用は最大約3兆8000億円
続いてそれぞれのルートにどのぐらいのお金がかかるのか、整備費用を見てみる。「日豊本線ルート」は最も距離が長いため、約3兆8000億円。「鹿児島中央先行ルート」は約1兆600億円。「新八代ルート」は約1兆5000億円で、延岡まで延伸した場合は約2兆2000億円かかると見込まれている。
整備費用のうち、JRからの貸付料を除いた額の3分の2を国が負担、3分の1を沿線自治体が負担する。
こうして比べてみると、「新八代ルート」は所要時間も短く、「日豊本線ルート」に比べると費用も抑えることができる。しかし、県北居住者にとっては大きな恩恵を受けられない。法律で定められた「基本計画路線」ではないなどの課題がある。
県民の意見は…?
・新八代ルートがいい。
・もちろん欲しい。新幹線ができたらとても助かる。
・大分方面に旅行や温泉に行けたらと思うし、福岡方面にも行きたい。
・新幹線は欲しい。お金をかけてでもできて欲しい。
・整備費用は高いが、そのくらいかかると思っていた。
・自治体からお金を出してということは自分たちにも少なからず負担は出ると思う。
・どれくらい効果があるのか分からないので、できたら良いな、ぐらいに考えている。
テレビ宮崎では今回の調査結果が出る前の10月にアンケート調査を行った。回答者1743人のうち新幹線が「必要」と答えた人は全体の約6割。このうち、どのルートが良いかについては「日豊本線ルート」が45.7%と最も多く、「新八代ルート」8.7%、「鹿児島中央先行ルート」5.4%と続いた。
県北に住んでいる人のみの回答を見ると、半数以上の52%が「日豊本線ルートが必要」と答え、「新八代ルート」3.5%「鹿児島中央先行ルート」2.6%と少なくなった。
将来の需要は?
将来の需要とも言える「平均通過人員」を見ると、「日豊本線ルート」は1日あたり1万2416人。「鹿児島中央先行ルート」は1日あたり5701人。「新八代ルート」は1日あたり8710人と推計されている。ちなみに九州新幹線の平均通過人員は1日あたり1万7004人だった。
また、経済成長率が将来も継続する事を前提とすると、いずれのルートも「利用者の所要時間の短縮」「事業者収益の改善」などが費用を上回り、投資に見合った効果が得られるという結果も出た。
宮崎県は東九州新幹線について、まずは現在の「基本計画路線」から「整備計画路線」への格上げを目指し要望を続けていく考えで、そのためにも県民の気運を高めていきたいとしている。県は2025年1月に「みやざきの新幹線を考えるシンポジウム」を開催する予定だ。
(テレビ宮崎)
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