北九州市で14日、塾帰りの中学生2人が男に刃物で刺され、女子生徒が死亡した事件。犯人の男の行方は2日経った今も分かっていません。わずか30秒足らずだったとされる残忍な犯行。地域は不安と緊張に包まれています。
■“致命傷になり得る”強い殺意か
この記事の写真現場は、JR小倉駅から南へ約7キロ。集合住宅や飲食店が立ち並ぶ国道沿いのファストフード店で、周辺には保育園や小中学校も多い地区です。
捜査関係者によると、塾からの帰り道だった中学3年生の男女2人は注文のため、レジに向かって並ぶ列の最後尾にいました。男は、国道に面した入り口から入り、うろつくことなく2人の所に行って、立て続けに刺しました。犯行は30秒足らずの間に行われたとみられます。男は入ってきた時と同じドアから店を出て、北に逃走したということです。
腹部を刺された中島咲彩さん(15)は病院に搬送されましたが、亡くなりました。腰のあたりを刺された男子生徒(15)も、命に別状はありませんが、致命傷になりかねない深い傷を負っていたことが分かりました。2人とも刺されたのは1回だけ。男子生徒は「全く知らない人に刺された」という趣旨の話をしているということです。
搬送される男子生徒を見た男性「自分が来た時は男子生徒が運ばれる前。来て数分経ってから運ばれていった」
(Q.どんな様子)
「担架に乗せられていて、ぐったりしているような感じ。声も特に出していなかったですし、とにかく寝ている状態」
(Q.凶器について警察は何か)
「刃渡り30センチのナイフかなんかと言っていました」
この男性は、男が逃げたとみられる方向から来ました。
搬送される男子生徒を見た男性(Q.向かって来る際に不審な人物は)
「人とは誰ともすれ違わなかった」
(Q.すれ違った記憶は)
「ないです」
次のページは
■“黄色いサンダル”で北へ?刺した男の特徴は、身長約170センチ、年齢は40歳ぐらいで中肉、灰色の上着に黒のズボンという姿で、新たに、つま先が出るタイプの黄色いサンダルのようなものを履いていたことが分かりました。
現場から北に150メートルほどの道路の反対側にある防犯カメラの映像では、犯行直後の時間に人影は確認できませんでした。男は途中で横道に入ったのでしょうか。
16日、現場には花を手向ける人の姿がありました。
献花に来た人「半年くらい前まで徒歩圏内に住んでいて。子育て世代にはすごく人気のあるエリア。このマクドナルドも息子もかなり来ていて。報道にもあるように、塾の帰りにみんなで頭をリセットするというか。うちの息子と仲の良い子は事件の1時間くらい前にも来ていた。時間が少しでもずれていたらとか。もう本当に早く捕まってほしい。安心できないですから」
「(自分も)娘がいますので、お父さんとお母さんの気持ち考えたら怒りしかないです。犯人には。卑怯すぎます」
次のページは
■不審な人物目撃も…広がる不安事件との関連は不明ですが、警察は、現場の北約120メートルにある自動車販売店の敷地から、たばこの吸い殻を回収しています。事件後に、不審な人物の目撃情報があったということです。
現場周辺では警戒が続いています。
近隣小学校の校長「朝から『登校不安で欠席します』という子どもが現在20名以上、不安で休みという連絡は受けています。教職員を各通学路に配置をして、地域の方、PTAにも呼び掛けながら、子どもたちの登校を見守っている状況」
子どもを迎えに来た保護者は…。
保護者(Q.いつも迎えに来ている)
「いつもは1人で帰るが、きょうは学校から連絡が来て、送り迎えするように言われたので、仕事も早めにあがって迎えに。やっぱり『怖い』ってみんな言っていますし、クラスの子が結構休んでいたみたいなんですよ。怖いので」
「怖いことがあったので、きょうは車で。連絡網はまわってきました。『不要不急の外出はしないように』と」
現場の店舗は普段から学生も多かったといいます。
保護者「若い人も多いし年齢層は幅広い。40代50代も見かける。時間を有効に使えるではないけど、勉強している学生を見かけたり」
事件との関連は分かりませんが、こんな声もありました。
女子児童の母親「(小2の娘が)遊ぼうと公園行ったら、刃物を持った人がいたから違う公園に行ったと言っていた。14日の午後1時から午後5時まで遊んでいたので、その間に見た。男の人で、横に女の人もいたそうです。娘は今まで見たことがない人というふうには言っていた。男の人は、娘はパパよりちょっと上くらいと。主人が35歳で、それより上くらいなので35〜40歳の間かな。100均とかに売っている包丁とかとあまり変わらない大きさで。でもそのまま裸で置いてあって、横にカバーも置いてあったと」
(Q.警察に通報は)
「しました」
刺した男と女子生徒の間に面識があるかどうかは分かっていません。警察は、2人が無差別に襲われた可能性もあるとみて捜査しています。
16日夜、亡くなった中島さんの通夜が営まれ、多くの人が弔問に訪れました。
次のページは
■“30秒未満の犯行”動機は?埼玉県警元捜査1課刑事・佐々木成三さんに聞きました。
(Q.短時間で2人を刺した犯行の手口からみえることは)
佐々木成三さん「一突きで、致命傷を負わせたことから分かるのは、ためらいがなく“明確な殺意”があること。そして、長い刃物を事前に用意していた可能性があることから、計画的だったのではないか。怨恨の線も消えていないが、ここまで犯人が特定できていないのは“被害者と接点がない”可能性が高い」
(Q.服装については)
佐々木成三さん「逃げる意思を感じない。男の履物が仮にサンダルだった場合、逃走を考えるなら、もっと動きやすい靴を履くはず。そして、人目につく場所、店内で犯行に及んでいることから“刃物で人を殺傷すること”それ自体が目的だった可能性もある」
(Q.今後の捜査のポイントは)
佐々木成三さん「ポイントの一つは『車のドライブレコーダー』。犯人を追跡するには“周辺の防犯カメラ”以外に、現場周辺を通った車の“ドライブレコーダー”も有力な手段。事件発生時以降、警察によると、14日午後8時25分ごろに、現場付近を通った方は警察に情報提供してほしい。仮にドライブレコーダーに不審な男が映っていなくても“この時間帯に男は通らなかった”と逃走ルートの選択肢を消していけることから、警察にとっては重要な情報」 この記事の写真を見る
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。