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 いまや、2分に1組が離婚する時代。理由は様々だが、30代の神山桜子さんは「子どもは急に泣いたり叫んだり、構ってほしくて同じ話してくるとかが一番苦手かもしれない。コミュニケーションがとれないのは怖さすら感じる」と話す。子どもが苦手だという神山さんは、それが原因で、夫との関係が悪くなり3年ほど前に離婚した。

【映像】“子ども嫌い”がきっかけで離婚した、神山桜子さん(30代)

 そもそも、「子どもが嫌い・苦手」はダメなことなのか。若者を対象にしたある調査では子どもが欲しくない女性の割合は40.2%。その理由の4割以上は「子どもが好きではない・子どもが苦手」だという。

 厚生労働省によると、2024年の子どもの出生数は統計を取り始めて以来、初めて年間700万人を下回るペースで減少。政府が少子化対策に取り組む中、「子どもを増やせ」という風潮に息苦しさを感じる人も…。「女性には母性が備わっていて出産して育児するのが自然」という“母性神話”に生きづらさを感じている当事者と共に、『ABEMA Prime』では子ども嫌いはダメなのかについて考えた。

■“子ども嫌い”がきっかけで離婚した、神山桜子さん(30代)

 “子ども嫌い”がきっかけで離婚した、神山桜子さん(30代)。子ども嫌いの理由は「幼児になると感情を抑制できない」、「会話が成立しない」、「存在が苦手」だという。

 神山さんは「元夫のお家は歴史があるところだったので、跡継ぎのために男の子が生まれるまでは出産してほしいと言われていた。当時、子どもは産まないといけないと思ってたが、男の子が産まれるまでっていうのがきつかった」と振り返る。

 「子どもはそんなに得意じゃないし、20代前半だったので、その年齢で今すぐ産むのは考えていないと伝えたら、元夫から『自分のことしか考えてないよね』『女性なのに子どもがほしいって思わないこと自体ちょっと変なんじゃないかな』みたいなことを言われた」と明かした。

 子ども嫌いになったきっかけについては、「高校、大学ぐらいの時、友達とレストランでご飯食べてたら、他の席で子どもがめちゃくちゃ暴れてた。それを見て、すごく不愉快に感じたが、友達はみんな『可愛いね』って言ってた。私は子どもが苦手なのかもしれないって思うきっかけではあるけど、子どもに何かされたから嫌いになったとかではない」と話した。

■子ども嫌い、苦手な人の背景に「1番多いのは、ネガティブな子ども時代の経験や環境」

 子ども嫌い、苦手な人の背景には「幼少期の親との関係」、「自分のライフスタイルの優先」、「社会が作り出した女性の理想像への反発心」、「子どもの予測不能な行動にストレス」、「周囲から聞く子どもに対する嫌なイメージ」、「親になることの不安や恐れ」などがあげられる。

 心理カウンセラーの小川のりこ氏は「1番多いのは、ネガティブな子ども時代の経験や環境だ」といい、「親との関係にネガティブな感情があると、子どもに対して否定的になってしまったり、嫌な経験が蘇ってしまうことがある。子どもは依存的で、甘えたり、泣いたり、怒ったり、自由にできるが、それを自分の幼少期の頃に何らかの原因で抑えつけざるを得なかったなどの経験があると、イライラが強く出てしまう」と説明。

 また、「日本は昔から、男性が外で働き、女性が家で子どもを育てて然るべきみたいな、役割分担が強かったと思う。だから、女性は子どもが好きであるべき、親は何よりも子どもを優先すべきという、社会が作り出したステレオタイプからの反発で子ども嫌いになることもある」と補足した。

 “母性神話”については、「背景に日本独自の歴史や文化があると思う。理想的な母親像、無償の愛、慈愛の象徴、良妻賢母っていう言葉もそう。そういう考え方が元々の母性神話を生み出したんだと思う」との考えを述べる。

 さらに、小川氏は自身の経験から「『出産したら変わる』という言葉は、赤ちゃんと楽しめた人が言える言葉。だから、子どもが苦手だと思う人が、それを聞いてもピンと来ない。変わる、変わらない部分は、出産すると女性ホルモンの変化で子どもを促すというのもある。多少は女性の気持ちの変化もあるが、育児中に“しんどい”、“嫌だ”っていう気持ちになったとしても全然おかしくない」とした。

■子どもがいてもいなくても共存できる社会は?

 公共施設や商業施設の受付で妊婦や子ども連れを優先する、こども家庭庁の取り組み『こどもファスト・トラック』。少子化対策として全国展開を表明し、東京国立博物館などで先行実施している。この取り組みに「 子どもに気づかずぶつかる人もいるから助かる」、「子どもがいる・いないで分断を生んでしまう」と賛否の声があがっている。 

 神山さんは、この取り組みに「子供が泣いたりしたら、すごいプレッシャーを感じて、しんどい思いをするお母さんたちもいるし、私は泣き声とか聞くと、ちょっとしんどくなっちゃう。だから、住み分けしてるっていうのは、すごくお互いにとって優しいのではないか」との考えを述べた。

 竹中平蔵氏は「優先搭乗というのがあるが、これはハンディキャップを持ってる人、お年寄り、子どもないしは子ども連れ。住み分けになるが、お子さんにも配慮が必要だ。もう世界中でやってることで、日本はむしろ採用するのが遅かった」とコメント。分断を生んでしまうのではないか、という意見に対しては、「ハンディキャップを持ってる人たちが普通に行動できるようにするわけだから、むしろ分断しないようにしてる」と一蹴した。

(『ABEMA Prime』より)

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