内閣府は13日、能登半島地震を教訓として、避難所運営に関する自治体向け指針を改定した。被災者の権利保護を提唱する国際基準を反映させ、トイレの数や1人当たりの面積など数値目標を掲げた。一方、内閣府は全国に約8万カ所ある指定避難所の備蓄状況に関する調査結果を近く公表する見通しで、対策を加速させる。
被災者が体育館で密集し雑魚寝するといった劣悪な環境が課題だった。国際基準は従来、参考扱いだったが、指針改定で「避難所の質向上の指標」と位置付けた。ただ自治体が、基準を満たせないとして避難所開設をためらう恐れもあり、国の支援が欠かせない。
改定指針では、災害の発生当初から50人に1個のトイレを用意できるよう備蓄を要請。「一定期間経過後は20人に1個」とし、女性用は男性用の3倍必要とした。生活空間は間仕切りを用意し、1人当たり最低3.5平方メートルのスペースを基準に据える。
仮設入浴施設は50人に一つとする目安を示した。断水に備え、防災井戸設置なども盛り込んだ。避難所の衛生対策として土足厳禁を明記した。
温かい食事の提供に向け、地元飲食店組合などと事前に協定を結ぶなどして調理人を確保。キッチンカーやセントラルキッチン方式での提供方法を例示した。
政府は備蓄品の導入を補助するほか、トイレカーやキッチンカーを速やかに被災地へ送るための事前登録制度を設ける。
国際基準は「スフィア基準」と呼ばれ、避難所が備える最低限の設備などを定めている。〔共同〕
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