「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の死を巡る裁判。元妻・須藤早貴被告(28)に言い渡された判決は「無罪」でした。決め手はなんだったのか、専門家に聞きました。
元検事 亀井正貴弁護士
「恐らく検察官と同様だと思うが、予想外で衝撃でした」
元検事を驚かせた衝撃的な判決。6年前に起きた資産家ドン・ファンの不審な死。元妻の須藤被告は2018年、当時、夫だった野崎幸助さん(当時77)に致死量の覚醒剤を摂取させ、殺害したとして殺人などの罪に問われています。
これまでの裁判では一貫して無罪を主張していました。今月12日午後1時40分、判決が下されます。
裁判長
「殺人と覚醒剤取締法違反の事件の判決を言い渡します。主文、被告人は無罪」
喜んだ様子はなく、裁判長の方を向き続けていた須藤被告。しばらくして、まぶたを押さえ、ハンカチで涙を拭いながら判決に耳を傾けていました。
裁判長
「野崎さんが覚醒剤を誤って過剰摂取した可能性も否定できない。被告が殺害したとするには合理的疑いが残る。売人から受け取った覚醒剤のようなものは氷砂糖の可能性が否定できない。野崎さんの死亡で遺産がもらえるとしても、そのこと自体が殺害を強く推認できるわけではない」
また、「完全犯罪」などと検索していたことについても…。
裁判長
「検索は殺害を計画していたと推認させる行動とは言えない」
判決の言い渡しが終わると、被告はマスクをして立ち上がり、長めに頭を下げます。そして、裁判員と裁判官が出て行くと再び頭を下げました。
元検事の亀井弁護士は…。
元検事 亀井正貴弁護士
「問題は、どうやって覚醒剤を飲ませたかという具体的な方法までが出ていなかったが、早貴被告が覚醒剤を被害者の所まで持ち込んだところまで認定されるであろうと思っていた。そうすると、あとは推認の話になるので、有罪判決の可能性が高い。確かに、直接証拠がないので無罪判決の可能性もあると思っていた。状況証拠の積み上げが足らなかったという認定がされたわけですから、そうすると他の事件に対する影響も大きいと思った。恐らく、裁判員裁判という制度であったことも無罪判決が導かれた一つの理由になったのではないかと思う」
裁判員は…。
裁判員
「まず今回の裁判、期間が長いというのと、証人の数も多いし、証拠の数も多いので、それをすべて吟味したうえで判決を出すのはすごく苦労した点かな」
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