無罪判決を言い渡されると、須藤早貴被告(28)はまぶたを押さえ涙を流しました。

■“ドン・ファン”裁判 須藤被告に無罪判決

 判決後、裁判員の一人が取材に応じました。

裁判員
「まず今回の裁判、期間が長いというのと、証人の数も多いし証拠の数も多いので、それをすべて吟味したうえで、判決を出すのはすごく苦労した点かな」

 6年前に起きた資産家“ドン・ファン”の不審な死。殺人の罪に問われた55歳離れた元妻。12日、判決が言い渡されました。

裁判長
「主文、被告人を無罪とする」

 無罪判決に涙を見せた須藤被告。

 直接的な証拠がなく、裁判所がどう判断するかが焦点となるなか、無罪のポイントは何だったのでしょうか。

傍聴に来た人 和歌山市 60代
「0か100かどっちにしかないので、どんな弁論するのか一番興味ある」

傍聴に来た人 和歌山市 30代
「どういう結果になるかというのが、すごくドキドキしている」

 注目を集めた12日の判決。午後1時半、須藤被告を乗せたとみられる車が和歌山地裁に入ります。

 起訴状などによると、元妻の須藤被告は2018年。当時、夫だった野崎幸助さん(当時77)に致死量の覚醒剤を摂取させ、殺害したとして殺人などの罪に問われています。

 須藤被告は黒いスーツに白いシャツ、白い大きめのマスクをつけて入廷。

 これまでの裁判では、一貫して無罪を主張していました。

須藤被告
「私は社長を殺していませんし、覚醒剤を摂取させたこともありません。私は無罪です」

 裁判では28人の証人が出廷し、須藤被告が覚醒剤を買ったとする証言などの多くの証拠が積み上げられる一方で、野崎さん殺害の直接的な証拠は出てきませんでした。

 そして、12日…。

裁判長
「殺人と覚醒剤取締法違反の事件の判決を言い渡します。主文、被告人を無罪とする」

 喜んだ様子はなく、裁判長の方を向き続けていた須藤被告。しばらくして、まぶたを押さえ、ハンカチで涙を拭いながら判決に耳を傾けていました。

 判決の言い渡しが終わると、被告はマスクをして立ち上がり、長めに頭を下げます。そして、裁判員と裁判官が出て行くと再び頭を下げました。

 無罪判決の決め手は…。

裁判長
「野崎さんが覚醒剤を誤って過剰摂取した可能性も否定できない。被告が殺害したとするには合理的疑いが残る。売人から受け取った覚醒剤のようなものは氷砂糖の可能性が否定できない。野崎さんの死亡で遺産がもらえるとしても、そのこと自体が殺害を強く推認できるわけではない」

 また完全犯罪などと検索していたことについても…。

裁判長
「検索は殺害を計画していたと推認させる行動とは言えない」

 検察は判決を受けて…。

検察側(次席コメント)
「主張が受け入れられなかったのは残念である」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。