福岡市の商業施設で4年前、当時15歳の少年が女性を刺殺した事件をめぐり、女性の遺族が少年と母親に損害賠償を求めている裁判の第1回口頭弁論が9日、開かれました。
◆娘を殺害された母親
「事件当日のこと、あの当時のことが頭に浮かんで悔しい思いでいっぱいです」
9日の記者会見で悔しさをにじませたのは4年前に娘を殺害された母親です。
事件が起きたのは2020年8月。
当時15歳の少年が、福岡市中央区の大型商業施設を訪れていた女性を包丁で十数回刺し殺害しました。
2022年7月から始まった少年の裁判員裁判の公判で、少年は女性について「申し訳ない」と述べる場面もあったものの、謝罪の意思を問われた際には「謝罪というのがどういうのか分からないので、特にない」と述べるなど、一貫性のない供述を繰り返しました。
福岡地裁は「非常に凶悪な犯行で、人格的な未熟さなどを理由に保護処分を受けることは社会的に許容し難い」と指摘して少年に懲役10年以上15年以下の不定期刑を言い渡し、判決は確定しました。
反省の態度を見せない少年。
女性の母親と兄は去年3月、少年の犯罪行為とその母親の監督義務違反を理由に、総額約8370万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。
9日の第1回口頭弁論では女性の母親が証言台に立ち、その思いを語りました。
Q.刑事裁判が終わって事件に区切りは?
◆娘を殺害された母親(法廷での証言)
「そんなわけありません。毎日毎日思い出さない日はありません。事件当時の光景が浮かんできてよみがえってきて、(母親が)なぜ少年に関わってこなかったのか疑問しかありませんでした。母が一番近い存在じゃないですか」
一方、少年側の弁護士は「少年が長期間児童養護施設にいたことから母親に監督義務違反はない」と主張しました。
また、裁判の中で女性の母親は、被害者の思いを加害者に伝える「心情等伝達制度」を使ったことも明らかにしました。
◆娘を殺害された母親(法廷での証言)
「人の心を持っているんだったら謝罪の言葉が出てくるんじゃないかと。めちゃくちゃな言葉でした。『人は、あっけなく死ぬもんですね』。なぜ、そんなことを言うのか信じられないです」
一向に見えない謝罪の態度に、女性の母親は会見で涙ながらに思いを語りました。
◆娘を殺害された母親(会見での発言)
「反省も何もしていないというか、逆に私たちを余計怒らせるようなことを言ったり、悔しさしかないです。何が原因でこういう事件を起こしたのか、犯人はもちろん(少年の)母親にもきちんと事件のことを向き合ってもらいたい」
判決は来年3月に言い渡される予定です。
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