浜松医療センターで2019年に仮死状態で生まれ、脳や呼吸機能に重い障害がある静岡県在住の男児(5)と両親が、分娩時のセンターの対応が不適切だったとして、運営する浜松市医療公社に損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁浜松支部は9日、帝王切開しなかった注意義務違反を認め、計約1億9800万円の支払いを命じた。  判決によると、男児は19年6月に「重症新生児仮死」の状態で生まれた。救急搬送された別の病院で呼吸器機能障害があると診断され、原因として脳出血、敗血症などが挙げられた。今も意識はなく、人工呼吸器を付け入院を続けている。  佐藤卓裁判長は、破水し入院した母親の所見から、羊膜炎の可能性が否定できなかったと指摘。低酸素状態により胎児に危険が及ぶ恐れを十分考慮すべきだったとし、医師らが陣痛促進剤の投与だけで帝王切開をしなかったため、男児は障害を起こしたと判断した。  原告側の青山雅幸弁護士は判決後に記者会見し「センターの無責任な医療体制の徹底的な見直しと改善を強く望む」と述べた。

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