およそ3年前、河口湖の湖畔にあるホテルの付近で、樹木23本が勝手に伐採される事件がありました。今月2日、甲府地裁はホテル側の指示で犯行に及んだ中国人の男に有罪判決を言い渡しました。
■境界部分に生えている木を巡りトラブル
事件後は富士山が見えるように この記事の写真事件前、ホテルからの河口湖ビュー。木の向こうにある富士山を見ることはできません。ところが事件後は富士山が見えます。
「明らかに私たちの敷地内に入ってきている」 被害者「石垣の上に人が立っている。木が落ちました」
「明らかに私たちの敷地内に入ってきていることが分かる」 ホテルの目の前には富士山と河口湖が広がる
山梨県にあるホテルの目の前には富士山と河口湖が広がっています。そしてその手前にある、ホテルとは別の私有地に生えている木を巡りトラブルが起きています。
3月、番組は窮状を訴える被害者を取材しました。
「枝を切られて除草剤を入れられた」 被害を受けた企業担当者「枝を切られて、除草剤を入れられた。中身は多分スカスカで、強風でいつ倒れるとかも分からない」 プライバシーを保つため境界部分の樹木を残す
この企業が山梨県河口湖町に建てたのは、会社の「保養所」です。元々雑木林だった土地に2020年、ホテルが開業。その後、ホテルの富士山側に「保養所」が建設され、プライバシーを保つため、境界部分の樹木が残されました。
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■交渉まとまらず…樹木23本を勝手に伐採■交渉まとまらず…樹木23本を勝手に伐採
被害を受けた企業担当者「2021年の8月にホテルのオーナーと会いまして、富士山が全くホテルから見えないので、この辺りの木は全部切ってくれないかと」 ホテル側と折り合いがつかず
ホテルは、中国人が経営しています。保養所側は木を切る代わりに壁の建設費用を負担するよう要望しましたが、ホテルは半額までしか応じず、折り合いがつきませんでした。
樹木23本を勝手に伐採ホテル側からの「木を切ってほしい」という要望からおよそ4カ月後、何者かに保養所側の樹木23本が勝手に伐採されました。
被害者がホテルの関与を疑い、事情を聴きにいくと…。
被害者側「枝、切りました?」 ホテル関係者
「私は何もしていない。実際に見ると枝が少なくなってるなと」 被害者側
「なぜそうなったかは分からない?」 ホテル関係者
「それは分からないです」
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■防犯カメラに映る枝が落とされていく様子■防犯カメラに映る枝が落とされていく様子
関与を明確に否定するホテル側。しかし、ホテルの防犯カメラに驚きの光景が映っていました。
敷地に侵入し枝を落とす男ホテルの敷地から樹木の様子を見るニット帽の男。隣の保養所の敷地に侵入すると…次々に樹木の枝が落とされていきます。
枝を引きずって歩く様子も枝を引きずって歩き、清掃しているような様子も見えます。
被害者「明らかに私たちの敷地内に入ってきていることが分かる」 映像には最大8人が登場
その後、やってきた1台の黒いワゴン。中から出てきたコートを着た男性は、勝手に伐採した男と接触。映像には最大8人が登場し、ホテルのロビーを行き来している人物もいます。
厚みのある封筒のようなものを渡すそして、コートの男性が渡したのは、厚みのある封筒のようなものです。両手を身体の前で握り、何度も頭を下げています。
当時、ホテルで働いていた従業員は次のように話しました。
元ホテル従業員「妙に河口湖が見えるようになってきたと思いました。一部の部屋しか富士山が見えなくて。木の枝が落とされた後に一部の部屋が見えるようになって、お客さんが喜んでくれたり。富士山がはっきり見えなくても河口湖が見えたりとか。口コミの中に結構いい評判がでました」
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■穴を開けられた樹木 除草剤の成分が検出■穴を開けられた樹木 除草剤の成分が検出
被害は枝だけではありません。
木には不審な穴が 被害を受けた企業担当者「1本につき3カ所ぐらい穴を開けられていて」
枝を落とされた時には気がつかなかった不審な穴。
表面から30センチほどまで穴が開いている以前、倒れてしまった木の根っこを切り出してみると、表面から30センチほどまで穴が開いていることが分かります。
穴は詰め物で隠されていた 被害を受けた企業担当者「穴が開いているんですけど、カムフラージュして詰め物で隠してある。抜くと穴が出てくる。偽装工作といいますか」
穴ができた樹木は枯れてしまい、倒れる危険があるため、保養所側自ら伐採を余儀なくされました。
木の切断面の成分解析番組は、木の切断面の成分解析を専門機関に依頼。解析の結果は…。
「徹底的に枯らす目的でないとこの濃度は出ない」 農民連食品分析センター 仲前聡主任研究員「今回グリホサートというものが出てきた。1キログラムあたり3510ミリグラム入っていた値。徹底的に枯らす目的でないとこのぐらいの濃度は出ない値」 除草剤の成分「グリホサート」
検出されたのは除草剤の成分「グリホサート」。原液が直接注入されると、木が枯れてしまいます。
保養所側が、ホテルを経営する中国人社長を問いただすと次のように話しました。
「なぜ謝らなければいけないのか」 ホテルを経営 中国人社長「謝れと言われても、なぜ謝らなければいけないのか」
「木が伐採されたことについては分からない」
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■ホテルが依頼 中国人に罰金30万円の有罪判決■ホテルが依頼 中国人に罰金30万円の有罪判決
罰金30万円の有罪判決山梨県警は、樹木を伐採した器物損壊の疑いがあるとして、中国人の男を逮捕。2日、甲府地裁は男に罰金30万円の有罪判決を言い渡しました。
甲府地裁 裁判長「ドリルで穴を開けて除草剤を流し込んだという大胆かつ大規模な犯行。被告人はホテル関係者から依頼を受け、報酬80万円を受け取って、従業員に指示を出し、重要な役割を果たしている」
隣の保養所には、除草剤の影響が土地に残り続けています。
除草剤の影響を受けた植栽 被害を受けた企業担当者「あとに植えた植栽も除草剤が土に流れ込んでいるので、こういう感じで枯れてしまっていく。除草剤を吸っていないのが緑、吸ってしまったのが茶色」
ホテルを経営する会社側はテレビ朝日の取材に対して、「現時点ではメディアからの質問に対する回答を控えたい」としています。
(「グッド!モーニング」2024年12月5日放送分より)
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