札幌市の歓楽街ススキノのビルに入るガールズバーで爆発・炎上した放火事件から1週間がたつ。火をつけたとされる、心肺停止で搬送された男の足取りが少しずつ明らかになってきた。

 事件が起きた11月26日。男は付近の駐車場に車を止めガソリンのような液体を入れたバケツを持ち、繁華街の中心を歩き現場へ向かったとみられている。

 捜査関係者などによると、男の車からは携行缶や事件直前にガソリンを購入した際のレシートも見つかった。

 そして店に向かう際、男は清掃員のような服装で帽子やマスクも身につけ、手にはバケツを持っていたとみられる。変装を試みたのか。


犯行予告か 9分前のSNS投稿「楽しいことするよ」

 「楽しいことするよ」(男のSNS投稿)

 これは火が上がるわずか9分前の投稿。男のものとみられるSNSには、犯行予告とも取れる内容が記されていた。

 その後、男は営業中の店内へ。無言でカウンターへ向かい、20代の女性従業員の方へと近づき、突然バケツの中の液体を撒き散らしライターで着火、爆発が起きたとみられる。

「高級シャンパン10本目」事件はその数年後に起きた

 「高級シャンパン10本目いただきました、ありがとぴょんぴょん」。男のものとみられるSNSだ。

 数年前に投稿された動画では、盛り上がる店内の様子が映っていた。華やかな装飾で彩られた店内は一変した。

 「階段から最初の女性が1人、男性が1人、服に火が付いた状態。『熱い、助けて』と降りてきた」(救助にあたった人)

 当時、店内にいた20代から50代の従業員や客ら男女4人がケガをして搬送された。

 「店から出てきた男性の証言では『何者かが液体をかけ火をつけた』と」(現場を目撃した女性)


「交際関係のもつれ」引き金か…事件前には「DV」でトラブル

 背景に何があったのか。

 引き金となった可能性があるのが『交際関係のもつれ』。

 数年前からガールズバーに通っていたとみられる男は、火を放ちケガをさせた20代の女性従業員と交際し同居していた。

 しかし事件前に別れ話をきっかけとしたDVでトラブルに発展。11月、警察を介して別居していました。

 「やっと吹っ切れました」(男のSNS投稿)

 この後、事件が起きた。なぜこのような事態にまで発展したのか。犯罪心理に詳しい専門家は、現状はまだ捜査中とした上でこう分析する。

 「好きと嫌いという恋愛感情と憎悪感情は表裏一体。好きだという感情が今度は憎しみに変わっていく。心理的には一緒にこの世からいなくなるという自暴自棄な感情がこういう結末を迎えたんだろうというふうに感じている」(関西福祉科学大学 相谷登教授)

 いまだ意識が戻らない男。突然、息子に放火容疑がかかった父親は被害者への謝罪の念を抱きながら過ごしている。

 「まさかこんなことをする子だとは思わなかった。なんと申し上げたらいいのかも分かりません」(男の父親)

 警察は男の回復を待って事情を聴きたいとしているが、めどは立っていない。

配偶者やパートナーからのDV 窓口に相談を

「札幌市配偶者暴力相談センター」
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