札幌市の20代の女性は3年前、当時2歳の息子をクローゼットに閉じ込めたとして警察に逮捕されましたが、その後、嫌疑不十分で不起訴になりました。
女性はこの際に弁護士から差し入れを受け、取り調べの内容を書き留めた、いわゆる「被疑者ノート」を留置場の担当者に無断で15分ほど持ち去られ、黙秘権や弁護士とやり取りする接見交通権を侵害されたなどとして、弁護士とともに道に対し、あわせて160万円を支払うよう求めていました。
3日の判決で、札幌地方裁判所の布施雄士裁判長は「合理的な理由がなく少なくとも15分以上、女性の手元から離れた状態にされるのは、許容される限度を超え、接見交通権を侵害したものと認められる」と指摘しました。
そのうえで「女性からすれば萎縮効果が生じることは否定できず、黙秘権を侵害したと認められる」として、訴えを一部認め、道に対してあわせて25万円を支払うよう命じました。
一方、裁判所は違法不当な取り調べによって甚大な精神的損害を被ったなどとする原告の訴えについては退けました。
原告弁護団「黙秘権の侵害とまで認めたことは評価」
判決を受けて原告の弁護団が会見し、このうち、吉田康紀弁護士は「被疑者ノートの持ち去りが黙秘権の侵害とまで認めていることは評価できる」と述べました。
一方、違法な取り調べがあったという訴えが退けられたことについては、「認められなかったのは残念だ。女性が黙秘権を行使すると発言したあと、ひたすら説得し続けるのは違法だと裁判所に踏み込んだ判断をしてもらいたかった」などと述べました。
北海道警「判決内容を精査し対応検討」
判決について、北海道警察本部は「判決内容を精査し、対応を検討してまいります」とコメントしています。
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