他人の免許証情報でクレジットカードを不正に取得したとされる夫婦が他人名義のクレカを70枚超入手していたことが2日、警視庁犯罪収益対策課への取材で分かった。事件では高速道路上で因縁をつけ、第三者の個人情報を把握する手法などが確認されている。
警視庁犯罪収益対策課は2日、他人名義のクレカを取得し高級ウイスキーを購入したなどとして東京都江東区の無職、斎藤貴聡容疑者(32)と妻の智華容疑者(33)を詐欺などの疑いで再逮捕した。同課によると、斎藤容疑者は黙秘、智華容疑者は「知らない」と供述している。
他人名義のクレカを作成するためには相手の個人情報が必要になる。2人は高速道路上で「飛び石で車体に傷がついた」とトラック運転手らに因縁をつけたり、飲食店で別の客に「肩がぶつかった」と言い寄ったりして、連絡先を交換する名目で相手の免許証を撮影していた。
同課によるとこれらに加えて、スポーツジムのロッカーから免許証を盗む手法も確認された。2人は2022年2月〜24年8月にかけてカード会社16社からクレカ71枚を不正に取得し、購入した商品を売却して約9500万円を得ていたとみられる。
犯罪収益移転防止法は口座の開設やクレカ作成の際、事業者が対面で本人確認をおこなうよう義務づける。18年に同法施行規則が改正され、対面だけでなくオンラインでの本人確認も認められるようになった。
ネットを通じた確認は「eKYC(electronic Know Your Customer)」と呼ばれる。運転免許証といった顔写真付きカードの画像と、本人の写真を送信させて照合するのが一般的な手法だ。しかし他人の身分証でクレカを不正に作成される事件は後を絶たない。
6月の犯罪対策閣僚会議で政府は、口座開設やスマホの契約に関する本人確認の際、なりすましを防ぐため券面自体の画像を送る方法を廃止する方針を示した。原則マイナンバーカードのICチップの情報を読み取り認証する方向で検討している。
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