このシンポジウムは、医療関係者や臓器を提供した人の家族などで作る「日本移植会議」が開きました。

シンポジウムでは数年前に心臓移植を受けた40代の男性が体験を語りました。

男性は先天性の心臓の病気で長年にわたり心臓の病気の治療を続けてきましたが、「移植を希望してから実際に移植を受けるまでおよそ20年待機した。その間に同じように闘病していた仲間が何人も亡くなっていった」と移植を受けるまでの期間が長期間に及んでいる現状を説明しました。

そして、臓器を提供する人の数は日本ではまだ多くないとして、万一の際に臓器を提供するかどうか考えを深められるよう「学校の授業や成人式などで、臓器移植について考える機会を設けてほしい」と述べました。

また、医療関係者の立場から講演した帝京大学の三宅康史教授は「入院時重症患者対応メディエーター」という専門職の仕事を紹介しました。

三宅教授は、重症の患者の家族に「メディエーター」が寄り添って治療の状況や見通しを丁寧に説明することで、もし患者の回復が見込めなくなっても家族が冷静に臓器提供について判断できるようになるとして、より多くの医療機関にメディエーターの配置を広げたいと訴えました。

日本移植会議の小柳※仁代表理事は「日本は臓器移植の広がりがいまだに遅れている。移植医療を自分のこととして考える機会にしてほしい」と話していました。

※柳は「卯」の右側が「夕」

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