企業版ふるさと納税 正式名称は「地方創生応援税制」で、2016年度に始まった。国が認定した地域再生計画に基づく自治体の地域活性化事業に企業が寄付すると、寄付額の最大約9割が法人税などから軽減される。東京23区など財政が豊かな自治体や、企業の本社が所在する自治体には寄付できない。
◆福島・国見町とDMMグループの間で「還流」
「契約手続きの公正性などに問題があると認め、地域再生計画の認定を取り消した」。22日の記者会見で伊東良孝地方創生相は国見町の事業についてこう明かした。事業は町が作成し、国が認定した地域再生計画に基づく。計画認定の取り消しは全国初の事態だ。 問題となったのは救急車の研究開発事業だ。2022年に企業版ふるさと納税で、IT大手「DMM.com」(東京)とグループ企業の計3社から受けた計4億3000万円の寄付を原資として町が高性能の救急車を開発し、民間企業を通じて他の自治体にリースする計画だった。事業は町が実施した「公募型プロポーザル」に1社のみ応募した備蓄食品製造会社「ワンテーブル」が受託。同社が救急車の開発、製造をDMM子会社「ベルリング」に発注したことから、寄付金が還流する構図が問題視され、事業は中止となった。◆議会と町の調査結果に温度差
福島県国見町が買い取り、宇都宮市内で保管されていた救急車=昨年8月撮影、同町議会事務局提供
町議会は調査特別委員会(百条委員会)を設置して調査し、今年7月に報告書を公表した。公募の際に示された救急車の仕様書が、ベルリング製に沿う内容だったことから「入札に見せかけた実質的な随意契約。公正であるべき業者選定が、特定企業に誘導することを視野に進められ、入札妨害の意図も疑われる」と指摘。町側が廃棄を理由に資料の提出を拒むなどした対応も批判した。 一方、町も第三者委員会を設置し、9月に報告書をまとめた。だが「町は企業の意のままに事業運営を行っていたとみられても仕方のない状況に陥った」と表現するなど、町の責任を追及する姿勢は甘く、百条委と差が見られた。◆伊東良孝・地方創生相「適切ではなかった」
このため内閣府は、町に契約資料や関係者の証言などを報告するよう求めていた。伊東地方創生相は会見で「特定企業をことさら有利に取り扱ったと認められ、適切でなかった。寄付の代償として便宜を図った」と問題の事業を断じた。7月、百条委員会の報告書の公表に合わせ記者会見する佐藤孝町議(右から2人目)ら=福島市内で(山田祐一郎撮影)
町では今月10日、任期満了に伴う町長選が投開票され、現職の引地真氏は落選。新人の村上利通氏が新町長に就いた。百条委委員長を務める佐藤孝町議は「町の信用を損ねたことへ反発が強まった結果だ」と説明する。百条委は解散しておらず、引地前町長時代に町側が提出しなかった書類やメールについて再度、調査を要求する方針だ。佐藤氏は「引地前町長の責任は重い。これで問題は終わりではない」とくぎを刺す。◆自治体が弱る中…寄付企業側に有利な制度
この問題を取材してきた福島在住のジャーナリストの藍原寛子さんは「少子高齢化で自治体の自主財源が減る中で企業版ふるさと納税が導入されたが、寄付する企業が有利となる制度だ」と指摘。国見町の問題について「この地域では東日本大震災からの復興もあり、予算や事業が拡大している。自治体の身の丈を超える財政規模に職員が対応できず、外部に依存せざるを得ない状況を露呈した」と背景事情を説明する。 その上でこう強調する。「今回の件で町は、住民のために自治を行うという重要な役割を放棄したと言える。自治体の政策立案能力が低下する中、寄付が本当に公共サービスに使われるのか。そもそも『地方創生』につながるのか。町はこれまでの対応をしっかりと検証する必要がある」◆公益通報を試みて...
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