奈良県の新アリーナ構想をめぐり、山下真知事は27日に臨時会見を開き、橿原市の県立医科大付属病院近くに設置を目指している近鉄・医大新駅の西側を整備予定地にすると発表した。知事は今年1月に県立橿原公苑内での整備方針を示していたが、利便性が高まるなどメリットが多いとして方針転換した形だ。
新駅西側の整備予定地(橿原市四条町)は県有地と市有地の計3ヘクタール。橿原公苑の北方約1キロメートルで、新駅に直結する場所だ。
橿原公苑に整備する場合と比べ、事業費は高くなるが、敷地面積が広く、駅周辺のまちづくりを進めるうえで相乗効果も期待できるという。約5千席の収容人数や、スポーツと音楽イベントを想定した機能面は、当初の構想を維持する。
きっかけは市との協議
新アリーナを巡ってはもともと、前知事時代に大規模な「多機能複合型アリーナ」が想定されていた。だが、昨春就任した山下知事はこれを見直し、橿原公苑の第1体育館(ジェイテクトアリーナ奈良)・第2体育館を解体して再整備する方針を今年1月に発表した。
一方、県議会では他の候補地も検討するよう求める予算修正案が3月に成立。7月に県と橿原市でまちづくり協議会を発足させる中で新駅西側が浮上、新たな候補地として検討を始めたことが県議会で説明されていた。
山下知事は会見で「(新駅西側は)利用者にとって駅から近いことが大きい。乗降客数が増え、新たな商業施設も出てくれば」と話した。橿原公苑の体育館は解体して、跡地の新たな活用法を検討するという。
県は新駅西側の整備を前提とした基本計画策定費用を補正予算案に盛り込み、12月の県議会に提案する。
橿原市の亀田忠彦市長は同日、「新駅周辺には、にぎわいのある施設を希望していたので大変ありがたい。できる限りの協力をしたい」とのコメントを出した。(仙道洸、阪田隼人)
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