流産や死産を繰り返すが確実な治療法がない「不育症」で、血液に特定の抗体を持つ女性に、血液を固まりにくくするアスピリンやヘパリンを投与すると、出産に至る率が上がることが分かったとの研究結果を、神戸大や大阪大などのグループが27日までにまとめた。神戸大の谷村憲司教授は「これまで治療できなかった患者に希望をもたらす」としている。
厚生労働省の研究班などによると、不育症はカップルの約5%で起きており、半分以上で原因は分からない。基本的に治療法はないが、自己免疫疾患の一つである「抗リン脂質抗体症候群」の場合は、低用量のアスピリンやヘパリンが用いられる。原因不明の場合でも処方されることがある。
グループは、大阪大の荒瀬尚教授が発見した、異常タンパク質に反応して自身を攻撃する「ネオセルフ抗体」に注目。神戸大などの調査で、不育症女性の4分の1で抗体が陽性であることが分かっている。今回、抗リン脂質抗体症候群の原因物質と性質が近いとみて、同じ治療法を検討した。
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